トルコギキョウ苗の生育速度と生育量は日平均照度10,000lx以上と比べて5,000lxで劣る

農業研究センター農産園芸研究所花き研究室

研究のねらい

農業の新しい技術(No.650)で公表したトルコギキョウの計画出荷を可能とするRTF苗を活用した技術が普及しています。その中で、曇天時の生育遅れ等による苗の生育不揃いと苗質低下が問題となっています。そこで、苗の生育に及ぼす照度とかん水方法の影響を明らかにしました。

※RTF苗:抽だいしているが、未分化でかつ老化していない苗

写真1 RTF苗(左)と慣行苗(右)

研究の成果

1 苗の生育速度と生育量は、照度とかん水の影響を受けます(表1)。
2 日平均照度が5,000lxの場合、10,000lxの場合より、生育速度は遅くなり、生育量(苗の生体重)が少なくなります。これは、かん水方法が底面給水でも上部かん水でも同様です(表1)。
3 また、上部かん水を実施する場合は、5,000lxの場合、かん水回数が3回/日の方が、1回/日よりも生育量(苗の生体重)が少なくなります(表1)。
※試験中の日平均照度は図1のとおりです。

図1 照度試験期間の日平均照度の推移(試験1)

4 なお、人工気象室で照度のみを変えた場合、照度が低い方が、育苗開始28日後から生育の遅れが見られました(図2)。

図2 照度が苗の生育に及ぼす影響(試験2)

成果活用面・留意点

1 曇天が続く場合、生育が遅れ、生育量も減るため、光が入るようにしましょう。
2 試験1(表1、図1)の試験条件
◯育苗容器:288穴セルトレイ
◯培土:MKK花用セル培土((株)南九州化学)
◯吸水種子湿潤低温処理(以下、種子冷蔵処理):暗黒下10℃で35日間
◯ハウス:冷房育苗ハウス(設定 昼28℃、夜18℃)
◯育苗期間:2019年7月2日~8月22日
◯照度試験期間:2019年7月11日~8月22日(図1)
◯照度:照度試験期間における8時~18時の日平均照度
10,000lx:40%遮光白色寒冷紗2枚被覆
5,000lx:40%遮光白色寒冷紗2枚被覆+80%遮光シルバー寒冷紗1枚被覆
◯かん水・液肥施用方法

3 試験2(図2)の試験条件
◯育苗容器及び培土:288穴MMイージープラグ((株)ミヨシ)
◯種子冷蔵処理:暗黒下10℃で35日間
◯ハウス:人工気象室(設定 明期28℃、暗期18℃)
◯育苗期間:2018年9月3日~10月15日
◯照度:明期12時間
◯かん水方法:底面給水

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