ナス「PC筑陽」の促成栽培で2本仕立てと炭酸ガス施用の組み合わせは増収効果が高い

農業研究センター農産園芸研究所野菜研究室

研究のねらい

本県ナスの促成栽培では、単為結果性品種「PC筑陽」の普及が進んでいる一方、栽培技術については十分に確立していません。
これまでの研究により、「PC筑陽」では2本仕立てが3本仕立ておよび4本仕立てに比べて増収すること(農業研究成果情報No.889)に加え、炭酸ガス施用により増収すること(農業研究成果情報No.924)を明らかにしています。
本試験では、仕立方法および炭酸ガス施用技術の組み合わせによる増収効果を明らかにしましたので、ご紹介します。

研究の成果

1.総収穫果数は、2本仕立てが4本仕立てに比べて約1割増加し、炭酸ガス施用が無施用に比べて約1割増加します。また、2本仕立て・炭酸ガス施用は、4本仕立て・無施用に比べて約2割増加します(表1)。

2.可販果1果重は、栽培条件の違いによる差はありません。可販果率は、栽培条件の違いによる差はありますが、その差は大きくありません。したがって、可販果収量は、栽培条件の違いにかかわらず、主に総収穫果数の増加に伴い増加します(表1)。

3.総収穫果数および可販果収量は、2本仕立てが4本仕立てに比べて、主に収穫前期の10月~12月に増加します。また、炭酸ガス施用が無施用に比べて、主に施用期間から1か月程度後ろにずれた1月~4月に増加します。さらに、2本仕立て・炭酸ガス施用は、4本仕立て・無施用に比べて、10月~12月および1月~4月に増加します(図1、図2)。

図1 時期別総収穫果数
図2 時期別可販果収量

成果活用面・留意点

◯「PC筑陽」の促成栽培における多収技術として活用できます。
◯台木品種「トナシム」に接ぎ木した苗を供試しました。
◯2020年9月1日に定植、202010月2日~2021年6月30日に収穫しました。
◯栽植様式は、次のとおりです。
4本仕立て:畝間190cm、株間70cm、1条植え(752/10a)
2本仕立て:畝間190cm、株間35cm、1条植え(1,504株/10a)
◯主枝の摘心は、原則として、第1主枝が第10果、第2主枝が第9果、第3主枝が第8果、第4主枝が第7果における上位葉1枚残しとしました。
◯炭酸ガスは、灯油燃焼式のネポン社製CG-254S1を用いて、202012月~20211年3月の日中に換気窓開時400ppm、閉時600ppm設定で施用しました。上記期間における実測値の平均は、無施用条件では369ppm、施用条件では586ppmでした(一部期間に欠測あり)。
◯灌水(かんすい)および施肥は、全栽培条件で同量としました。

 

No.963(令和4年(2022 年)6月)分類コード 02-04
963_成果情報_農産園芸_ナス「PC筑陽」増収効果 (PDFファイル)