「ゆうべに」の育苗管理

~増収のためには、育苗期から適期なスケジュール管理を~

はじめに

本県育成イチゴ品種「ゆうべに」は、早生性で連続出蕾性が強く、初期収量に優れた品種です。
安定生産するには、品種特性をしっかり理解し、長所を引き出すことが重要です。育苗期においては、適期管理の有無がその後の生育や収量性に大きく影響します。
今回は、鹿本地域における取り組み事例を踏まえ、育苗期を中心とした管理のポイントについて紹介します。

写真1 育病期の様子

育苗管理のポイント

「ゆうべに」は、2回に分けた置肥施用で、苗の充実と花芽分化の安定を図っています(表2)。
そのため、1回目の置肥施用までに鉢受けを完了し、計画的な管理につなげることが重要です。

表1 育苗スケジュール

1.充実した親株養成

親株数は、本ぽ10aあたり700株を目安に、不足がないよう準備します。
親株の鉢上げ後は、床土の乾燥や肥料切れに注意するとともに、春先から発生する花房やランナーを早期に除去し、株の充実を図ることがポイントです。
また、親株養成の時期は、野外のハダ二類やアザミウマ類が増えるだけでなく、本ぽからの持ち込みも多くなるため、本ぽの防除も徹底しましょう。

2.計画的な採苗

1株の親株からランナー10~12本の鉢受けとなります。
注意点は、鉢受けが早すぎると苗の老化や不時出蕾の発生が懸念され、逆に遅いと頂果房の花数の減少や苗の充実不足を招き、年内収量の低下につながりることです。
そのため、期間内に必要株数が揃うよう、育苗ハウスの換気徹底や、親株中心のこまめな水・肥料の管理を行い、生育停滞やランナーの先焼けが生じないようにすることが重要です。
また、親株の古葉かぎや、弱い芽の整理も継続して実施し、徒長防止や草勢維持も図りましょう。

3.徒長しない苗づくり

子苗の切り離し後は、葉かぎ管理が遅れないようにし、徒長のない苗姿を目指します。特に、「ゆうべに」は、育苗期に葉柄が伸びやすい特徴があるため、2回目の置肥施用までは強めの葉かぎを行うことがポイントです(表2)。
また、ポット内の根は、乾燥や過湿で褐変しやすいので、夕方にポット表面が乾く程度のかん水管理に努め、根の活性維持を図りながら、生育の揃った苗に仕上げましょう。

表2 育苗期での時期別における生育目安

4.適期の施肥

前述のとおり、「ゆうべに」の育苗期の施肥は、2回の置肥施用が標準です(表3)。
適期に施肥ができていれば、8月中下旬に肥料が効いた状態になり、早すぎる花芽分化が防げます。
スケジュールに沿った管理を心掛け、適期の花芽分化で良食味果実生産につなげましょう。

表3 置肥2回のスケジュール

5.病害虫防除

各種病害虫に対する防除は、従来の品種と同様に行います。葉かぎ後に農薬散布を行うと散布ムラがなくなり、高い効果が期待できるため徹底しましょう。
鹿本地域では、例年定植後からハダニ類の発生が認められ、春季以降にかけて被害が生じるほ場もありました。
そこで、ハダニ類の被害をなくすために、ポイントに沿って防除したところ、発生を低密度に抑えることが出来たのでその対策を紹介します。

 

①植物残渣・雑草の処理
ハダニ類の対策は、育苗期に本ぽから本種を持ち込まないことが重要です。また、葉かぎで除去した下葉は、ほ場外での処分を徹底するとともに、ほ場内の雑草も定期的に除去しましょう。

 

②定植前後の防除の徹底
本ぽへ定植後、ハダニ類の密度がゼロになるように防除を行いましょう。
防除のタイミングとしては、8月上旬から8月20日までは約7日間隔で気門封鎖剤を散布することでゼロに近い密度まで抑え込みます。
その後、8月20日~9月25日にかけて高い効果を示す薬剤で防除を行い、ハダニ類の密度をゼロにします。
また、10月下旬から天敵であるカブリダニ類を活用することで、ハダニ類の密度を低く維持することができます。

さいごに

「ゆうべに」の増収のためには、しっかり計画を立てて、着実に無理なく管理作業を進めていきましょう。

2018年7月号
県北広域本部 鹿本地域振興局 農業普及・振興課