「ゆうべに」定植~年内までの栽培ポイント

~年内の安定生産のためのスタートダッシュ~

はじめに

「ゆうべに」は、花芽分化が早く連続出蕾するため、他品種より初期収量に優れます。
この強みを活かしつつ、春まで平準出荷するには、定植後の草勢管理が重要になります。
そこで今回は、阿蘇地域における取組事例を踏まえ、定植から収穫開始期までの栽培管理ポイントを紹介します。

花芽分化期~定植まで

過度に花房が連続する場合、現地では、摘果作業の増加や厳寒期の成り疲れが問題になります。
そこで、花芽分化後は、追肥と適期定植(活着促進含む)を徹底し、花が連続し過ぎないようにします(表1)。

表1 花芽分化後の液肥施用の効果(H28農産園芸研究所)
※促成いちご「ゆうべに」土耕栽培管理指針(改訂版)より
注)可販果収量は5月10日まで

定植後~年内まで

草勢が強い品種であるため、定植後は、かん水や温度管理に気を付け、ゆっくり生育させます。
新葉の展開位置・葉ツヤや厚み・葉色・草高等で草勢の強弱を確認し、温度・灌水・電照・着果量といった管理を適正に組み合わせることがポイントです。
なお、特に草高は判別しやすい指標になりますので、写真1のような草高判定棒を定植後から設置し、急激な変化がないように管理しましょう(適正範囲 カラー青:20~30cm)。

草高の目安
・電照開始まで  25cm以内
・電照開始~年内 25~28cm

写真1 草勢確認の様子(草高)
写真1 草勢確認の様子(新葉の展開位置)

(1)温度管理

天井ビニル被覆後から11月までは、気象の次年間差が大きいので、草勢が急変しないように温度管理します。
基本的には、収穫開始までは換気を徹底し、日中25℃以下、夜温7℃以下で温度管理します。特に、
高夜温は株の急激な立ち上がりにつながるので、夜間の保温は7℃以下になってから始めましょう。

(2)灌水管理

活着確認後は、徐々に灌水量を減らしていき、根域の拡大と生育安定を図ります。
一部ほ場では、秋の着色不良果発生が問題となりますが、阿蘇地域では①強草勢(急激な生育も含む)、②灌水過多で発生が多い傾向にあります。したがって、こまめな灌水管理に努め、必要以上の溢液発生(葉水)や新葉の徒長がないようにしましょう。

(3)電照

電照は、11月中旬ごろから開始します。7~10日後の生育を確認しがら時間調整することが重要です。

(4)着果量(摘果・摘果房)

11月~12月上旬ごろに、花房間葉数や草勢に応じて摘花・摘花房を行います(表2、写真2)。
摘果が不足すると、ガク枯れや成り疲れが生じ、年明け以降に減収します。収穫・パック詰め作業が忙しくなる前に実施しておくのがポイントです。

表2 頂果房の着果目安
写真2 摘花房の例

(摘花の効果について)
昨年、阿蘇地域で実施した摘花試験の結果を図1に示します。栽培マニュアルどおりに摘花した場合、ガク枯れの低減と生育維持につながりました(図1、一部データ省略)。図1は、土耕ほ場の結果ですが、高設栽培でも同様の傾向です。

図1 果実品質への影響(摘花)
試験区:マニュアルに準じた摘花
慣行区:生産者の慣行摘花

最後に

「ゆうべに」は年内から収量が多いので、各作業が遅れないようにすることが重要です。H30年産の秋に多発した灰色かび病についても、開花期から計画的な予防防除に努め、高品質な果実生産につなげましょう。