「ゆうべに」育苗管理のポイント

~適期の栽培管理で、本ぽでの増収につなげる~

はじめに

本県育成品種のイチゴ「ゆうべに」は、頂花房の花数が多く、果実が大果で花房が連続出蕾するため、年内収量に優れた品種です。
このような品種特性を活かすには、育苗期から適期管理の実践が重要になります(表1)。
そこで今回は、玉名地域の現地事例も踏まえ、育苗期の栽培ポイントを紹介します。

親株数の確保と株づくり

親株は、十分な数と採苗までの株づくりが重要です。以下の2点がポイントになります。

(1)親株準備

「ゆうべに」では、親株1株あたり約12株程度の採苗となります(採苗期間約40日程度)。
したがって、土耕栽培では、本ぽ面積10aあたり700株程度の親株が必要です。
※現地では、採苗期間を延長する事例が毎年みられます。多くは親株数が少ないことが原因ですので、まずは親株数の確認を行いましょう。

(2)親株の充実

親株は、早めに鉢上げして株づくりを行います。特に、外気温が上昇してくる3月頃からは、水や肥料が不足しないようにします。また、発生する不要なランナーや花房を遅れずに除去し、株の生育を促します。

短期間の採苗で苗質を揃える

早過ぎる採苗開始は、老化苗の原因になります。一方、採苗の遅れは、苗の生育や花芽分化のバラつきを招きます。双方とも、年内収量や総収量に影響します。
このため、以下の管理に注意し、表1の育苗スケジュールを基に、短期間で採苗を終えることを目指します。

表1 育苗スケジュール

(1)こまめな親株管理

採苗期間は、高温になるため、換気と親株の生育維持を図ります。
晴天時は、できるだけ換気部を広げ、軟弱徒長しないようにします(写真1)。また、肥料やかん水が不足しないようにするとともに、定期的な古葉の除去や、薬剤による病害虫防除を行います。
※ランナー先焼けも、高温対策や親株の管理徹底(水・過繁茂)で、発生低減が図れます。

写真1 換気幅の広い育苗ハウス

(2)採苗スケジュールの遵守

玉名地域などの平坦地では、鉢受け期間の目安は6月~7月上旬までとなります。その後の施肥管理がスムーズに行えるように、1回目の置肥までに鉢受けを完了していることがポイントです。

子苗の充実と適期の花芽分化

良質の苗は、活着が早く、その後の収量・生育も良好です。白根中心の根鉢形成と葉や葉柄がしっかりした苗づくりを目標に管理します(写真2)。

写真2 高収量生産者の根鉢

(1)育苗期の施肥

施肥は、作業の省力化と花芽分化の安定を図るために、置肥を2回に分けて施用します。特に、表2に示したとおり8月中下旬に葉色値を維持し、早すぎる花芽分化を防ぎます。
苗の栄養状態維持には、2回目の置肥時期が重要ですので、施用時期を確認しておきましょう。

表2 育苗期の生育の目安

(2)葉かぎ・かん水管理

切り離し後は、1回目の葉かぎを速やかに行い、徒長防止に努めます。その後も、生育に応じて葉かぎし、かん水管理と併せて徒長のないしっかりとした苗をつくります(写真3)。

写真3 8月下旬の苗姿
A:しっかりした生育の苗
B:徒長苗(葉かぎ遅れ、遮光あり)

定植までの苗の生育維持

「ゆうべに」は、頂花房と第2花房が過度に連続する場合があるため、摘果作業の増加や厳寒期の成り疲れにつながります。
過度な連続出蕾は、花芽分化~定植直後の栄養状態も影響するため、分化確認後は、必ず液肥等で追肥しましょう。

さいごに

「ゆうべに」で高収量を実現するために、育苗期から無理のない計画を立て、適期に管理作業を行っていきましょう。
また、苗づくりと並行して、土づくりなどの本ぽの準備も大切です。現地で毎年聞かれる降雨等による作業の遅れ等がないよう、本ぽ準備も計画的に行いましょう。