いぐさの本田植付けに向けた管理

~良質ないぐさを生産しましょう~

はじめに

令和元年産いぐさの収量は平成29年産と同程度に多収となりました。次年度の生産に向け、地力の保持が重要です。

図1 本田いぐさ手植えの様子

本田の植付前準備

連作等で地力が低下しているほ場では、長いの収量が低下することがあります。数年に一度いぐさを休耕し、麦やイタリアンライグラス等を作付けして、計画的に地力の回復を図りましょう。引き続き植付を行う場合は、深耕や有機物の施用などを行う必要があります。特に、「涼風」は多収で養分の持ち出しが多いので注意して下さい。
耕起前に基肥をブロードキャスターなどで機械散布すると肥効にむらが出ます。荒起こし後に施用するか、一部を残しておき、植付後に根付け肥として施します。また、施用した堆肥の種類によっては加減調整する必要もあります。
水稲といぐさの作付体系では、水稲収穫後に稲わらを鋤き込み、耕起・代かきを行うのが一般的ですが、近年、水稲では主食用米以外に飼料用米やWCSなど多様な種類が作付されるようになりました。

飼料用米の場合

飼料用米では鋤き込まれる稲わらが多いため、排水不良田で土壌還元によりいぐさの生育に悪影響を及ぼすことが予想されます。
以下の図表は土壌還元が畳表の品質に及ぼす影響を示したものです。
表1は畳表に発生する黒変色茎が茎長120cm以上のいぐさにおいて土壌還元状態に多くなることを示しています。また、図2は畳表の明度が、土壌還元が強いほど低く、暗い色調になることを示しています。
水稲収穫後は速やかに乾田耕起を2~3回行い、代かきまでの期間を長くとり、できるだけ稲株を細かくして下さい。

表1 各試験区の黒変色茎発生割合(%)
(熊本県農業研究成果情報No.271(平成18年5月)より)
図2 各試験区の明度(L値)
(熊本県農業研究成果情報No.271(平成18年5月)より)

WCSの場合

WCSでは主食用米より養分の持ち出しが多いため、後作にいぐさを植え付ける場合、より多く堆肥等の施用が必要です。
土の乾きすぎや雨上がりで土壌水分が多い状態では、荒起こしや整地の作業精度が良くありません。下層は荒く、表層は細かくなるように砕土し、整地してください。
代かきでは何度もならしていると土壌が三層分離し、通気・通水性の低下によりいぐさの生育が悪くなります。

本田苗の準備

苗の管理は本田いぐさの生育に影響します。
苗床が過度に湿っていると、苗株を汚したり、泥落とし作業で茎を傷つけたりすることに繋がる恐れがあります。秋雨対策として溝を掘っておきましょう。(図3)

図3 本田苗の管理

苗の株分け

本田苗には親茎が7~8本(ひのみどりは12~16本)で、罹病しておらず、イグサシンムシガの幼虫が侵入していないものを用います。このとき、古い茎は取り除き、新芽が7~8本(ひのみどりは12~16本)ついたものを一株として株分けしましょう。
苗は風の当たらない冷暗所に貯蔵します。貯蔵期間は原則として気温が高い時は3日以内、低い時でも5日以内です。(図4)

図4 本田苗の保管

苗の植付

植付の深さは3~4cmが適当です。浅植えは初期出芽が良すぎて株が扇状に広がり、倒れやすくなります。また、茎が細く軟弱となり屑(くず)いの割合が多くなります。深植えの場合は、分げつが抑えられるため、茎数が少なくなります。また、茎が太くなります。

品種「涼風」の作付

「涼風」で作付を拡大する場合は、品質安定生産のために収穫時期を早める作期で計画しましょう。

最後に

良質ないぐさを安定生産するには、よい土壌環境を作り健全な苗を植付けることが重要です。いぐさ田ではいぐさ+水稲の作付体系がほとんどですので、まずは土づくりから見直してみましょう。