アスパラガスの排水対策について

~明日、パラダイスの対策事例~

はじめに

菊池地域のアスパラガスは、菊池市および合志市を中心に8ha作付けされており(注1)、近年は新規栽培者も増えている品目です。JA菊池アスパラガス部会では、「明日、パラダイス塾」(以降、塾とする)を開塾し、新規栽培者への栽培・経営管理の支援が行われています。ここでは、塾で行われている排水対策について紹介します。

新規栽培ほ場の土壌断面調査

アスパラガスは、一度植付けると十数年間と長期にわたっての栽培となるため、最初のほ場準備、特に、排水対策が重要なポイントとなります。塾では、新規栽培者を対象に、10月頃、栽培予定ほ場の土壌断面調査を実施しています(写真1)。土壌断面調査の結果を基に、深耕、堆肥の溝施用、排水溝設置等、計画的にほ場の準備を行います(写真2)。

写真1 土壌断面調査
写真2 ほ場準備(深耕)

アスパラガス栽培における排水対策の現地事例

1.明渠の施工事例

豪雨(写真3)があってもすぐに排水できるよう、ほ場周囲およびハウスの間の排水溝の施工が、排水対策の基本となります(写真4、5)。ポイントは、溝は深く掘り、必ず水尻を作ることです。溝を防草シート、マルチなどで覆うことで除草、病害虫対策にもなります(写真6)。

写真3 豪雨時のほ場
写真4 額縁明渠
写真5 ハウス間の排水溝
写真6 排水溝への防草シート設置

縦孔暗きょの施工事例

すでに栽培がなされているアスパラガスでは、ほ場の排水性が不良である場合、その地下部の土壌改善に取り組みにくいことが問題となっています。
このため、農業研究センター研究成果情報「排水不良水田の縦孔暗きょ等による部分的な改善効果」(平成26年5月)を、アスパラガス栽培に応用した排水対策技術を実施しましたので、その事例を紹介します(詳しくは、革新支援センター情報「排水不良アスパラガスハウスにおいて取り組める縦孔暗きょ施工技術」(平成29年5月)、注2)。

 

(施工前の状況)
アスパラガス2年目ハウス内の一部で、排水不良による通路等の水の停滞が見られました(写真7)

 

(施工内容)
エンジン式オーガーを用いて、通路に直径100mm、深さ60cm~70cm、間隔100cm、1条で穴(縦孔)を掘り(写真8)、そこにもみ殻を充填しました。エンジン式オーガーを購入した場合の価格は10万円程度です。

 

(施工後の状況)
施工約2か月後、停滞水が認められなくなり、コケも減り、生産者も排水性改善効果を実感しています(写真9)。

 

施行約1年半後も排水性改善効果は維持されていました(写真10)。

3.本暗きょ部分施工+縦孔暗きょ施工の事例

(施工前の状況)
縦孔暗きょ施工を行っても排水性改善効果が不十分であったほ場において、部分的に本暗きょを施工しました。

 

(施工内容)
トレンチャー等で約60cm深の溝をハウス外まで続くように掘り、そこへ疎水材(軽石)を5cm程度の厚さで敷いて排水管(コルゲート管)を配置し、管が隠れる程度に疎水材で覆った後に土を埋め戻しました(写真11)。施工費はm当たり1,000~1,500円程度となります。

 

(施工後の状況)
施工約1年後、停滞水が認められなくなり、生育も改善し、生産者も排水性改善効果を実感しています。

写真11 弾丸暗きょ設置(H29年7月)

おわりに

近年、新規就農者のアスパラガス栽培の希望者が増えてきています。アスパラガスは永年作物のため、最初のほ場準備が大変重要になります。また、収量を確保するためには、灌水が重要です。十分に灌水するためには、排水対策が必要となります。早めに栽培計画を立て、計画的に準備を行いましょう。

写真12 弾丸暗きょ+縦孔暗渠 施工約年後(H30年8月)

注1)熊本県主要野菜生産状況調査(平成28年)による。
注2)熊本県ホームページ掲載 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_19787.html

2018年10月号
県北広域本部 農林水産部 農業普及振興課