アスパラガスの栽培のポイント

~1年のスタートは『立茎』にあり~

はじめに

熊本県のアスパラガスは、九州では佐賀県、長崎県に次ぐ産地となっています。県内の産地は、菊池地域の他に、鹿本地域、阿蘇地域、八代地域です。菊池地域では新規就農者の参入によりJA菊池アスパラガス部会の部会員も年々増加傾向にあります。
本県のアスパラガスは半促成長期栽培の作型で、春芽収穫と夏秋芽収穫による長期栽培です。アスパラガス栽培では、夏秋芽は立茎した株の光合成量に依存し、春芽は前年の貯蔵養分に大きく依存します。「夏秋芽+翌年の春芽」が栽培の一セットとなり、「立茎」作業が重要となりますので、「立茎」についての管理ポイントを紹介します。

立茎の考え方

そもそもアスパラガス栽培での立茎とは…?
夏秋芽を萌芽させる養分生成の基礎(土台)と、翌年の春芽を萌芽させる為の養分蓄積(貯蔵根への貯金)の大事な作業です。
収量が上がらない理由として「春芽の収量が上がらない→春芽を長期間とる→良い茎が立てられない→夏秋芽も翌年の春芽も上がらない→春芽を長期間とる」の悪循環に陥ることが挙げられます。

写真1 立茎中の状況

立茎のポイント

◆立茎開始のタイミング(時期)を見極める
◆素性の良い親茎を選択する(茎の大きさ+本数)

この2点を押さえた、「妥協なき立茎」が重要です。

立茎開始のタイミング(時期)を見極める

立茎開始のタイミングは、株年数や収穫開始時期など様々な要因によって異なるので、判断は個々により変わります。「あの人が立茎し始めたから自分も立茎始めよう~」と安易な判断は絶対しないことです。

立茎開始タイミング判断基準

1.前年の貯蔵養分を推測する
・前年度の親の状態
・前年秋の黄化状態
など

2.現在の貯蔵養分残量を推察する
・株年数
・春芽収穫量
・春芽収穫期間
など

から総合的に判断します。
具体的には多年生株(3年生以上)では、

1.前年の貯蔵養分から判断
・貯蔵養分の蓄えが少ない(病害や環境要因の被害で、生育がうまくいかなかった)
→春芽収穫期間3週間以内
・貯蔵養分の蓄えがやや少ない(自然黄化まで、茎葉の緑色が保てなかった)
→春芽収穫期間30日前後
・貯蔵養分の蓄えが順調であった(自然に黄化した)
→春芽収穫期間50日前後

2.萌芽する若茎から判断
・収穫した若茎で判断
→Mサイズが半数以上
→1回の収穫量が10a当たりの10kgを下回る
・収穫した若茎の品質で判断
→穂先の開き、先細り、節の凸凹、曲がり、扁平などの異常茎の出始める頃

素性の良い親茎を選択する(茎の大きさ+本数)

立茎方法には、一斉立茎、順次立茎の方法がありますが、完璧な立茎とするために順次立茎とします。
親茎として選ぶ芽は、直径1cm程度で、勢いの良い若茎で、真っ直ぐ伸び、穂先がしまっていて、歪みがない、素質の良い茎を選ぶことです。出荷規格が25cmなので若茎が27cm位に伸びた時点で収穫するか、残すかの判断をします。
※下位節から側枝が発生する茎は避けます。
立茎本数は、ハウス装備・畝数・込み具合により違ってきますが、目安は以下のとおりです。

 

・㎡当たり9~12本(株間33cmの場合)
親として残す茎には、輪ゴムなどを使って、収穫物と区別できるようにします。
立茎の茎と茎との間隔は、出来るだけ離し、最低でも握りこぶし1つは空けるようにします。これは親茎1本1本が適当に離れて受光態勢が良くなることと、1鱗芽群1親茎を立てるためです。

摘芯は、親茎が目標とする位置に達したら早期に行います。摘芯位置は、ハウスの軒高、側面の換気高にあわせて決定します。したがって、生産者やハウス毎に変わります。
病害軽減は、ハウス内の通風を良くし、高温、高湿度(蒸れ)を回避することが最も重要です。摘芯は換気高より低い位置とします。

写真2 摘芯終了期の様子

摘心高の目安

・軒高の低いハウス
→摘芯高100cm程度
・軒高の高いハウス
→摘芯高120cm~

さいごに

立茎・摘芯が終了したほ場の状況としては、
☆天井ビニールを開けて、反対側が見えるよう
☆畝から見上げて、天井パイプが見える
が理想的な姿です。

 

1年のスタートは立茎にあり!
妥協なき立茎を!

写真3 摘芯高と換気高