アリアム(丹頂)栽培について

~アリアム(丹頂)の促成栽培・作型拡大の取組み~

はじめに

アリアムは曲がった茎が特徴的な花です。
近年、生け花等のお稽古需要は減っていますが、県内では共販組織を中心に、蕾切りや小型のアレンジ向け規格品の開発など、新たな需要確保が行われています。
また、加温・電照を使った促成栽培から無冷蔵球を使った遅出し栽培に取組む等、出荷期拡大・分散化を図っています。
今回は主力品種である「丹頂」の促成栽培と無冷蔵球を使った遅出し栽培について現地事例を踏まえ紹介します。

促成栽培のポイント

冷蔵処理した球根を9月下旬以降に定植し、加温・電照することで、1月~3月の出荷が可能になります(図1)。

1.冷蔵処理の温度と期間

「丹頂」は定植前の球根の冷蔵処理によって、その後の花芽分化や開花が促進されます。
試験結果では8℃で冷蔵した場合、もっとも開花が早まり、これは現地実証でも同様の結果が出ています(表1)。
また、冷蔵期間も長い方がより開花が早まる傾向があり、球根をそれぞれ0~10週間冷蔵した場合、10週間冷蔵したものが最も開花が早くなります(表2)。
しかし、8℃の長期保存は冷蔵処理中に発芽したり、カビによる腐敗も増えるので注意が必要です。
そのため、実際には5℃で8~10週間の冷蔵処理が適当と思われます。
また、冷蔵処理後はなるべく早く定植します。常温で長期間置いておくと球根が消耗し、定植後の生育が良くありません。
雨などで定植ができない場合は、そのまま冷蔵庫内で保管します。

図1 アリアム(丹頂)作型事例

2.球根選択の注意点

促成栽培は栽培期間が短いため、ボリューム不足になりがちです。
そのため球根は2.5g以上の充実したものを使用し、球根の大きさを揃えて定植します。
現地での実証試験では、大球(4g以上)は中球(2~3g程)にくらべると花芽分化が1~2週間程遅れる結果がでています。
そのため、加温・電照条件だけでなく、球根の大きさ等も考慮して定植計画をたててください。
また、大球は内部で分球している事も多く、細い芽が複数発芽し、ボリュームがとれない場合もあるので注意が必要です。

3.定植

定植の際は浅植えに注意して、球根が土中に隠れるよう3~4cmの深さに植えこみます。
水分不足も不揃いの要因となるので、定植後は十分かん水してください。

4.電照と加温の活用

電照開始時期が早いほど開花は早まりますが、切り花のボリュームも落ちるので、展開葉が3~5枚になった頃から開始します(深夜3時間)。
低温には強い品種ですが、開花促進には温度が必要です。出蕾後は夜温8~10℃を確保してください。

5.肥培及びかん水管理

窒素が多いと花芽分化が遅れる要因となります。促成の場合、元肥は窒素成分で10~12㎏/10a程度に抑え、花芽分化後、出蕾頃に液肥を追肥します。
出蕾後、花茎が伸びる時期に水分が不足すると草丈が伸びないので、適宜かん水します。

6.害虫防除

花茎等にアザミウマ類の食害痕があると著しく商品価値を失いますので、防除を徹底します。

無冷蔵球根の遅出し出荷について

現在行われている露地栽培は、冷蔵処理した球根を使う場合が殆どです。しかし、冷蔵処理をしない球根(無冷蔵球)を使用することで出荷時期を約3週間程遅らせ、出荷の集中を避けることができます(図1)。
無冷蔵の場合、球根堀上から定植までの期間が長く、球根の消耗が大きいため、より涼しい環境下での球根保管が重要です。
現地では納屋のほか、25℃の冷蔵庫内で保管している事例もあります。
また、露地栽培は長雨の影響も受けるので、排水の悪いほ場は高畝にし、周囲に溝切りをして排水対策を行ってください。

最後に

全国的に産地が減っているなか、熊本県のアリアムは主要産地として重要な位置を占めています。
生産者の高齢化が進む一方で新たな生産者を呼び込む活動も始まっており、熊本県の特産花きとして、今後も伸びる可能性を秘めている花といえます。

2018年6月号
県央広域本部 農林部 農業普及・振興課