キュウリの栽培管理のポイントについて

はじめに

キュウリは果菜類の中でも生育が早く、播種から収穫まで40~60日と短い日数で出荷できます。安定生産のためには、経営規模や労働力を十分考慮したうえで、作型や品種を決定し、適期の管理作業を行うことが重要です。
今回は天草地域の事例をもとに、栽培管理のポイントについてご紹介します。

天草地域の作型

天草地域では温暖な気候を活かし、半促成や抑制、促成栽培を組み合わせた栽培体系がとられています(図1)。

図1 天草地域の主な栽培体系と作型

(1)半促成栽培

半促成栽培は、冬から初夏にかけて栽培する作型です。キュウリの根の生育適温16~25℃ですが、この作型は低温期での定植となるため、地温の確保が特に重要です。スムーズな活着と根張りを促すため、ほ場準備は早め早めに取り掛かり、根の生育適温より高い地温を確保します。品種は低温伸張性や雌花着果性に優れ、草勢の強い品種が適します。
また、キュウリ黄化えそ病などのウイルス病対策として、前作終了から少なくとも10日以上ハウスの密閉処理を行ってから定植します。ウイルス病を媒介する微小害虫の伝染環を絶つことが重要です。主枝の摘心前にウイルス病に罹ると大きく減収するため、定期的な防除を行い、害虫密度の低下に努めます(写真1)。
収穫後半になるにつれ、気温が上がり、生育速度も速くなります。いったん管理が遅れると修正は難しくなるため、適期作業に努めることが重要である。収穫も適期に行い、なり疲れを回避し、草勢の維持を図ります。

写真1 キュウリ黄化えそ病の発病葉。
摘心前の発生は減収の要因となる。

(2)抑制栽培

抑制栽培は、晩夏から冬にかけて栽培する作型です。高温期に定植するため、初期生育が旺盛で茎葉が混みやすくなります。このため、節間がつまる品種は避け、葉が小さく、親づるに雌花がつきやすい品種を選びます。終盤にかけて気温が低下しますが、低温伸張性にこだわる必要はありません。
定植後は少量多回数の灌水を行い、活着を促します。初期の高温対策として、寒冷紗(遮光率30%程度)などの遮光資材での被覆が有効です。
また、9~10月は野外の微小害虫が多く、ハウスへの飛び込みが増えます。定期的な防除や防虫ネット(推奨:4mm目合)設置により、初期防除に努めます。秋口に害虫対策を徹底し、ハウス内で越冬させないことが次作の春先以降の防除対策につながります。
外気温が下がる11月中旬以降は、草勢維持のため、夜間のハウス内温度を10~15℃に保ちます。無加温ハウスでは、特に早めの内張りカーテンの設置や日没前にハウスを閉めるなどの保温が重要です。

(3)促成栽培

促成栽培は、秋から春にかけて栽培する作型で、収穫期間は長期にわたります。栽培期間の大半が厳寒期のため、草勢が維持できるよう日中もハウスを閉めて加温を行い、キュウリの生育適温を保つことが重要です。低温寡日照条件下での栽培になるため、低温伸張性に優れ、分枝力のある品種が適します。
ハウスを閉め込む厳寒期は、日中のハウス内炭酸ガス濃度が外気(400ppm)より低下します。このため、炭酸ガスを施用し、外気と同程度を維持することで果実肥大の促進や草勢維持を図ります。

整枝法

キュウリの整枝法は、摘心栽培とつる下し栽培(写真2)があります。作型や品種、労働力にあった方法を選択します。

 

1.摘心栽培
主枝を10数節で摘心後、側枝を1~2節で順次摘心します。
2.つる下し栽培
主枝を10~15節前後で摘心し、上~中位節の子づる4本を垂直に誘引します。小づるの定期的なつる下げ作業が必要です。

 

いずれも、気象条件や着果状況に応じた摘心、摘葉及び肥培管理を行い、草勢を維持することが大切です。
天草地域では摘心栽培が主流ですが、上物率が高く、作の後半でも草勢維持が可能なつる下し栽倍を実践する農家も増えています。
また、近年、キュウリの主要病害であるうどんこ病に耐病性を持つ多収性の品種が相次いで育成され、病害の抑制により作期が延長する事例も見られます。
天草地域において、労働力等を考慮しながら、長期栽培に適するつる下し栽培とこれらの品種を組み合わせた栽培体系の確立に取り組んでおり、収量及び品質向上を目指しています。

写真2 つる下し栽培の様子

おわりに

冒頭にも述べましたが、キュウリの安定生産のためには、作型や品種に応じた草勢管理や適期作業が重要です。
今回ご紹介した管理以外にも、土壌診断に基づく施肥設計や、生育状況や天候に応じた的確な追肥を行い、キュウリの生産性向上に取り組みましょう。