キュウリの栽培管理のポイント

~天草地域における収量増加に向けた管理ポイントの紹介~

はじめに

天草地域では、キュウリが年間延べ25haの面積で周年栽培されています。経営規模によって作型が異なりますが、基本的に1つのハウスで2つの作型を組合せた体系で営まれています(図1)。
今回は、それぞれの作型の特徴と管理ポイントについて、天草地域での取組み事例を交えながら説明します。

図1 天草地域の主な栽培体系と作型

栽培体系Ⅰ【作型①+作型②】

天草地域の基幹的な栽培体系になります。
温暖な気候を活かし、多くが無加温ハウスで取組まれています。また、初期投資が少なく、栽培期間が比較的短期で取り組みやすいことから、新規就農者や新規品目導入に推奨しています。

作型1

初期の高温対策と、後半の草勢維持が重要な作型となります。
高温対策では、定植から9月末頃まで寒冷紗(遮光率30%程度)などの遮光資材を被覆し、活着と初期生育を促します。
なお、ウイルス病を媒介する微小害虫が多い時期ですので、防虫ネットなどの設置や化学農薬による初期防除徹底を図ります(写真1、2)。
また、11月中旬以降は、外気温が10℃を下回ることがあるため、草勢維持を目的に、夜間のハウス内温度を10~15℃に保ちます。無加温ハウスでは、特に早めの内張りカーテンの設置や日没前にハウスを閉めるなどの保温が重要です。

写真1
ウイルス病発生株(キュウリ黄化えそ病)
※写真は、農業研究センター生産環境研究所より提供
写真2
防虫ネットと粘着テープを用いた微小害虫対策
(防虫ネット、粘着テープ)

作型2

初期の温度確保と、後半の草勢維持が重要な作型となります。
定植期の3月上旬は、まだ地温が低い時期になります。根の生育適温(16~25℃)より低い地温で定植すると、活着や初期生育の不良が発生します(写真3)。
地温確保を目的に、ほ場準備を早めに行い、ハウスを閉め込んで定植に備えます。
また、収穫後半はハウス内が高温になるため、成り疲れしないように適期収穫に努め、草勢の維持を図ります。

写真3 低温期の初期生育不良(展開葉が小さい)

栽培体系Ⅱ【作型③+作型④】

規模拡大に伴う周年栽培を目指している方に推奨している栽培体系になります。
作型③が、台風対策を必要とする8月下旬から収穫期を向かえるため、多くが耐候性ハウスで取組まれています。
また、作型④は、前作栽培終了から定植までの期間が短いため、計画的なほ場準備やウイルス病対策を目的とした微小害虫の防除徹底が必要です。

作型3

初期の高温と、ウイルス病対策が必要な作型になります。
収穫初期までは、ハウス内が高温で推移しますので、遮光に加えて、少量多回数の灌水や細霧、スプリンクラーなどを用いた散水を行い、生長点や新葉の焼け発生防止を図ります(写真4)。
また、ウイルス病を媒介する微小害虫の侵入や増殖が継続しますので、防虫ネットの設置や初期からの定期的な防除を行い、害虫密度低下に努めます。なお、栽培終了後は、次作の作型④のため、速やかにハウスの締め込み処理を行い、害虫の伝染環を絶つようにします。

写真4 高温期の生長点と新葉の焼け

作型4

厳寒期の草勢維持が重要な作型となります。
収穫期初期から2月下旬は、低温寡日照条件のため、日中もハウスを閉めて加温を行い、キュウリの生育適温を保ちます。
また、厳寒期は、換気回数が少なく、日中のハウス内の炭酸ガス濃度が低下しやすい時期になります。したがって、天草地域では、9時~17時に濃度が400ppmを下回らないように炭酸ガスを施用し、草勢維持につなげています(図2)。

図2 ハウス内の炭酸ガス濃度の推移(平成30年2月21日測定)

おわりに

キュウリ栽培で収量を増加させるためには、これまで紹介した管理の他に葉かぎや摘心、収穫などの適期作業が重要です。適正な労働力での計画的な栽培を心掛けましょう。

2018年10月号
天草広域本部 農林水産部 農業普及・振興課