グラジオラスの安定生産

~ポイントは、①地域に適した品種の選定と②排水対策による病害抑制~

はじめに

グラジオラスは、アヤメ科に属する球根草花で、栽培期間が70日~100日程度と短く、露地栽培で栽培が可能なうえ、省力的かつ露地でも栽培ができる品目であることから、輪作体系の中で組み入れ可能な品目です。
熊本県のグラジオラス栽培状況は、作付面積789a(平成27年産熊本県花き生産実績より)で、うち、露地栽培が700aです。
主な産地は、上益城地域と天草地域で、中でも上益城地域は夏秋期に涼しい気候を活かし、県内の8割以上となる660aで露地栽培が行なわれ、6~10月に出荷されています(表1)。
天草地域では、暖かい気候を活かし、輪作体系の中で秋冬期に出荷されています。
栽培は、有機物の多い、保水性と排水性を兼ね備えたほ場を好みます。
栽培は球根を購入して行いますが、以前は地域に合うパテントのない品種を選定し、自家増殖をしていましたが、球根養成に手間がかかることやバリエーションが限られていたことから、現在では花色や花型が豊富な輸入品種の栽培を行っています。
しかし、新しく導入された購入品種の中には、夏秋期の高温・多雨により、根痛みや病気等が発生するものがあり、安定生産のためには、地域に適応した品種の導入と並行して、自家増殖が可能な品種の球根品質の向上、栽培技術(病害対策)の向上による安定生産が重要となります。
今回は、栽培技術で重要である病害対策並びに上益城で取り組んでいる事例を紹介したいと思います。

表1 栽培管理表(上益城地域)

主要病害と対策

1.葉につく病害 ※葉枯れ病、ボトリチス、赤斑病(写真1)

①症状
葉が灰色から褐変してだんだんと広がります。発生部位は葉が中心ですが、花弁にも発生します。

 

②発生条件
多湿時を好み、被害残渣や発病した植物から雨風によって空気伝染します。

 

③対策
・排水を良好にし、密植、過繁茂を避け、窒素の多施用を控える等多湿にならないようにします。
・多発生した病葉、株は摘除して焼却します(そのままにしておくと被害が広がります)。
・雑草にも感染していることが多いのでほ場内外の雑草を除草します。
・登録のある農薬で防除します。

写真1 赤斑病

2.球根や茎や葉が腐れる病気 ※首腐病(写真2)、乾腐病

①症状
茎や葉鞘部分に発生します。地際の茎元にくぼんだ黒褐色の病斑を形成します。地上部の葉に現れる症状で区別すると、首腐病は内側の葉より、乾腐病は外側の葉から症状が現れます。

 

②発生条件
多湿を好み、保菌球茎や被害残渣からの種球伝染や土壌伝染します。

 

③対策
・連作はせず、他作物との輪作を行ないます。連作する場合は登録のある土壌消毒剤で土壌消毒します。
・ほ場の排水を良くします。
・発病株は、速やかに除去して周囲の株への感染を防止します。
・球根養成栽培では、収穫後球茎の土を落とし十分乾燥させます。
・健全球を植え付けます(貯蔵状態が悪い球茎を定植すると生育後半に発病して壊滅的な被害となります)。

写真2 首腐病

上益城地域の取組み事例

近年の気象は、短期間集中豪雨が多くみられます。そのため、 集中的な豪雨にも対応ができる排水対策が必要になるとともに、生育ステージによっては、降雨は茎や花首の曲り、葉の病気に繋がることから、降雨対策が重要です。

 

①排水対策として、畝内に水が滞留しないようサブソイラーや弾丸暗渠を引くとともに通路等の水を排出する様に取組んでいます(写真3)

 

②簡易雨よけ(写真4)を設置し、安定した定植及び収穫直前の茎や花首曲りの防止に取んでいます。

 

③品質に優れた球根の選定。数年前より輸入球根の品質低が問題視されているため、対策として従来からある品種を自家増殖させながら、さらに産地に適した品種の選定を行う予定です。

写真3 ほ場外排水
写真4 簡易雨よけハウス

最後に

近年、気象の変化が大きく、通常の管理だけでは生産安定が難しくなっています。特に、露地栽培は、天候に左右されやすいことから、天候に合わせた管理を今後もお願いします。

2018年2月号
県央広域本部 上益城地域振興局 農業普及・振興課