コントラクター運営のポイント

~コントラクター設立から運営まで~

はじめに

コントラクターとは、飼料作物の播種や収穫作業、堆肥の調製・運搬・散布作業などを請け負う組織です。
近年、畜産経営においては、飼養規模の拡大により、飼養管理に専念するため、自給飼料生産を外部(コントラクター)に委託する動きが加速しています。自給飼料生産をコントラクター組織に委託することで、繁殖成績の向上、家畜の死亡事故の減少、サイロ詰めなど労働負担の軽減が可能となります。
本県では、コントラクターが平成15年の5組織から平成29年には20組織まで増加しています(図1)。

図1 熊本県のコントラクター組織数
(H29.9畜産課調べ)

コントラクターの形態

コントラクターの形態は、次の2つに分けられます。

〇共同利用組織:複数の農家が機械・施設の共同利用協定で結合している組織
〇受託組織:全面農作業また部分農作業を受託する組織(農家集団や、農協、民間の会社が参入しているケースも見られる)

いずれの組織を設立するにあたっても、まずは、地域における課題の整理を行う必要があります。

・収穫機械、オペレーターや飼料運搬運転手の確保
・表、裏作の作付形態
・既存機械、施設の活用
・記録や会計を担当する者の確保
・集落営農組織との関係

これらの整理を行ったうえで、前述したどちらの組織形態を選択するのかを決定するのが良いでしょう。

コントラクターの特徴

1.料金・賃金について参照できる「相場」がない

競合するコントラクターがない、またはあっても2~3組織という場合がほとんどであるため、作業料金や賃金の設定が難しいことがあげられます。 作業料金が主たる収入となり、コントラクターを運営するため慎重に決定する必要があります。
一方の支出については、作業機械に係る経費、修繕費、燃料代、オペレーターや作業員の人件費、ラップフィルム等の資材費などが挙げられます。具体的には、支出額≦収入額となるため、少ないオペレーターで多くの面積を短期間に作業する技術が効率的です。また、収支のバランスを見たうえで、近隣の競合する組織の価格設定も考慮しながら受託料金を設定することになります。また、一度決めた金額は、容易には値上げしにくいことも考えておく必要があります。

2.組織内の意思統一の難しさ

構成員や利用者によってコントラクターとの関わり方やその程度が異なるため、他の会社等と比較して意思統一が難しいことがあげられます。
例えば、飼料の収穫作業を受け、飼料の品質が委託者の要望を満たさない場合は、作業面積の減少など、後々トラブルになることがあります。このため、組織内で研修会でルールを作り、委託者を交えた意見交換を行うなど意識の統一を図ることが重要になってきます。

コントラクターの育成

では、いざコントラクターが畜産農家の集団で設立された場合を考えます。
設立されたコントラクターは、個々の畜産経営と分離して、独立経営を行う必要があります。
つまり、オペレーターの確保や収支決算等を独立して行わなければならないということです。記帳や会計が得意な公務員OBなどに業務を任せるなど工夫が必要です。
オペレーターの確保においては、通年雇用が理想です。通年雇用するためには、受託作業の種類や作目数を拡大し、作業面積及び年間を通した作業を確保しておく必要があります。
しかし、一般的に、農作業(飼料作物生産作業)は、繁忙期と閑散期に分かれることが多く、通年の作業確保に苦慮されることが想定されます。
この通年雇用対応策としては、収穫については、トウモロコシ、飼料用イネなど草種メニューを増やすこと、冬期の堆肥散布の受託、閑散期に作付可能な農作物を生産販売することなどが考えられます。
その先の発展としては、TMR(注)センターを開設して、製造したTMRを販売したり、地域の預託牧場を運営することもビジョンとして描くことができます。

写真1 コントラクターによる作業風景

最後に

国や県ではコントラクター組織育成に活用できる事業や、既存のコントラクター組織にも活用できる事業があります。事業活用する場合はお気軽に農業普及・振興課までご相談ください。

 

注 Total mixed rations の略で養分要求量に合うように粗飼料、濃厚飼料、ミネラル、ビタミンなどをすべて混合した飼料のこと。

2018年3月号
県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課