トマト黄化葉巻病対策について

はじめに

トマトの安定生産上、最も重要なことはトマト黄化葉巻病で欠株にしないことです。今回はコナジラミの発生消長等を踏まえた効果的な対策について紹介します。

トマト黄化葉巻病のおさらい

トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)により引き起こされるウイルス病で、発病するとトマトの成長点が止まるため、栽培初期に感染すると収穫皆無の恐れがあります。タバココナジラミの媒介のみにより伝染します。

媒介虫とトマト黄化葉巻病

(1)野外コナジラミの発生消長

粘着トラップでの野外調査によると、毎年6月(栽培終了時期)に誘殺数が大幅に増加し、その後、減少していきます(図1)。

図1 八代地域の野外コナジラミの発生状況(農業普及・振興課調査)

(2)野外におけるタバココナジラミのTYLCVの保毒状況

TYLCV保毒虫率の季節的推移を調査したところ、6月が非常に高く、その後1か月以上をかけて減少し、10月に再度上昇します(図2)。このことから、収穫終了後のハウス密閉処理と、定植時の初期防除の徹底が重要になることが示唆されます。

図2 八代地域の野外コナジラミTYLCV保毒率(H30:農業普及・振興課調査)

(3)トマト黄化葉巻病発病株率

TYLCV発病株率は、8月下旬から9月中旬の定植が高く、9月中旬以降の定植の方が低くなります。耐病性の有無については、当然ながら「有」が低くなりますが、「有」でも発病する場合があり、対策が必要になります(図3)。

図3 八代地域の定植時期、耐病性の有無の違いによる発病株率(農業普及・振興課調査)

効果的な防除対策とは

(1)ハウス外に「出さない」

栽培終了後は密閉処理を行い、植物体を完全に枯らし、さらに10日以上継続することでコナジラミを死滅させます。

(2)ハウス外で「増やさない」

「野良生えトマト」や雑草の処分を徹底します。

(3)ハウス内に「入れない」

防虫ネットをサイド、谷部などの開口部に隙間がないように設置します。

(4)ハウス内で「増やさない」

ウイルス病感染株は早急に抜き取り処分します。

(5)効果的な農薬の使用

コナジラミ防除の考え方に合致した特性を持つ剤を時期ごとに選択します(表1)。
1.収穫末期(3~6月)は野外に出さないことがポイントになります。栽培終了時までしっかり行います。
2.育苗期から収穫開始期(7~10月)は感染防止を目的に選択し、生育初期の感染、増殖防止を図ります。
3.収穫開始から侵入終息期(11月)は保毒虫を一掃し、リセットする目的で選択します。
4.侵入終息期から収穫末期(12~2月)はハウス内でコナジラミを増やさないことを目的に選択します。
参考までに使用農薬例を紹介します(表2)。

表1 コナジラミ防除の考え方(時期別)
表2 使用農薬例(令和元年5月作成)
*抵抗性管理のため同系統の農薬の連用をさけましょう。
*登録内容(希釈倍数、使用回数など)をよく確認して使用しましょう。

(6)耐病性品種利用時の注意点

耐病性品種でもウイルスは感染・増殖します。また、発病も見られます。加えて、タバココナジラミが媒介するトマト黄化病には耐病性がないため、罹病性品種と同様の対策が必要となります。

おわりに

ウイルスは経卵伝染しないことから、トマトを栽培しない期間を設けることが重要です。地域全体の取り組みとして次作へのウイルス伝搬を無くしましょう。