トルコギキョウの冷房育苗

~効率的な育苗による成苗率の向上~

はじめに

トルコギキョウ苗の確保には、苗の購入と自家育苗があります。作付け株数が10aあたり3万本程度と多く、経費負担軽減のため、作付面積が大きい農家では自家育苗されます(苗購入18円/本程度、種子3~4円/粒程度)。天草地域でも5戸の農家で行われています。
自生地でのトルコギキョウは、春に湿潤な環境で発芽、夏の高温・乾燥でロゼット(休眠)、冬を経過後に翌春に節間伸長して夏に開花します。この習性のため、高温期の育苗ではロゼット対策が必要になります。ロゼットする温度条件は、最低気温20℃以上かつ平均気温25℃以上(昼温30~35℃、夜温20~25℃)になります。
一方で、発芽は平均気温25~30℃が適温、生育は昼温25~30℃の温度域であれば平均気温は高いほど早くなります。このようにロゼット条件と発芽並びに生育適温が重なることが育苗効率を悪くしており、成苗率の低下に繋がっています。成苗率は、その後の管理作業や出荷数量及び秀品率に影響するため向上対策が望まれています。
そこで、天草地域(天草市新和)においてRTF苗の育苗(7月10日~9月4日)で取り組んだ事例を紹介します。
※RTF苗とは、抽だいしているが未分化でかつ老化していない活力のある苗のこと。

取り組み

①発芽揃いの改善と②育苗期間の短縮による成苗率向上を目指しました。

主幹技術

①種子冷蔵処理
②底面給水
③冷房育苗

ポイント1

ロゼット抑制と発芽揃い及び生育勢を良くする種子冷蔵処理(吸水種子を暗黒下で10℃・30日程度遭遇させる)を行いました(写真1)。

写真1 種子冷蔵処理の様子

ポイント2

セル当たりの培土量、培土の物理性及び水分状態の均一化を、購入培土のMMイージープラグと底面給水の組み合わせで図りました。

 

【底面給水管理の水位】
〇育苗開始~本葉展開まで
培土表面より少し低い程度の水位で管理
〇本葉展開~本葉2対半展開まで
セルトレイの底から1/3程度の水位で管理
〇本葉2対半展開以降
セルトレイの底から1/5以下の水位で管理

ポイント3

芽及び生育促進を冷房による気候及び生育ステージに合わせた温度管理で図りました(写真2)。

 

【冷房設定温度】
〇梅雨時期
昼温30℃、夜温20℃設定
〇梅雨明け以降
昼温28℃、夜温18℃設定
〇本葉3対以降
(定植までの期間がある場合)
昼温25℃、夜温18℃設定

写真2 冷房育苗の様子

ポイント4

生育促進と老化防止を生育ステージに合わせた液肥の施用で図りました。

 

【液肥の施用】
肥料成分N:P2O5:K2O=10:4:6を天候に応じて施用しました。
〇育苗開始3週間後(本葉展開)~本葉2対半展開まで3千倍
〇本葉2対半展開以降は2千倍

 

その結果、①発芽揃いが良くなりました(写真3)。②初期生育期間の短縮(育苗開始~本葉3対展開39日間)で、ノロ(海苔状のコケ)の発生する前に葉が培土表面を覆ったことでノロによる生育遅延が防げました。③冷房と底面給水の組み合わせで日中の温度制御ができました(表1)。④灌水等の労働時間が削減されました。⑤高い成苗率(写真4)により、揃った苗を定植することができました(育苗日数56日)。⑥定植後の生育(写真5)及び開花が揃い(写真6)本ぽ管理の省力化、出荷率の向上に繋がりました。

表1 育苗中の環境
写真3 本葉展開時の苗(揃いが良い)
写真4 定植時の苗(RTF苗)
写真5 生育期のハウス
写真6 開花期のハウス

おわりに

トルコギキョウの生理生態と基本技術に基づいた育苗は、発芽揃いの改善と育苗期間の短縮が図られ、成苗率の向上に繋がりました。
なお、種子冷蔵処理の有無によって温度管理、培土の種類によって肥培管理が変わりますので、ご注意ください。

2018年4月号
天草広域本部 農林水産部 農業普及・振興課