トルコギキョウ栽培における土壌還元消毒

~土壌消毒で商品化率アップを~

はじめに

トルコギキョウは連作すると病害が発生しやすくなり、商品化率が低下してしまいます。そのため、毎作ごとの土壌消毒は必須です。方法としては、クロルピクリン剤などの土壌くん蒸剤の使用がありますが、使用中やその後のガス抜き作業の際に、使用者や周辺住民の吸入暴露に注意が必要となります。
土壌くん蒸剤を使用しない方法の1つとして、土壌に有機物を投入し、微生物を急激に増加させ、酸素を消費させて無酸素状態(還元状態)にすることで、酸素を必要とする病原菌やセンチュウの密度を抑制する「土壌還元消毒」という方法があります。
土壌還元消毒で投入する有機物の種類は、米ぬか・フスマなどの固体のものから糖蜜や低濃度エタノールなどの液体のものまであります。
今回は、菊池地域のトルコギキョウ栽培で実施されている、米ぬか・フスマを使った「土壌還元消毒」の事例を紹介します。

材料・方法

・米ぬか(フスマ):300kg/10a
・ソイルクリーン(土壌処理用発酵剤):3袋(45kg)/10a
・水:30t以上
・被覆用ビニール(透明マルチ)
・かん水チューブ
・かん水ポンプ

1.片づけ

サイド等に生えている雑草も片付けやすいように、ハウスの中央に寄せておく。暖房機や電子機器など高温に弱い機材は事前にハウス外に持ち出すか、耐熱シートで覆っておく。

2.耕うん

罹病株を持ち出し、病原菌の密度を下げ、残渣、雑草は持ち出し又は徹底的にすきこむ。緑肥を栽培している場合もすきこむ。

3.散布

米ぬか(フスマ) 、ソイルクリーンを均一に散布後する(写真1)。

写真1 米ぬか等散布後の様子

4.耕うん・ならし

ロータリーで耕うんする。ハウスサイドや入口など、土が盛り上がった部分は平らにならし、湛水ムラがないようにする。

5.かん水チューブ設置

ハウス全面にかん水が行き渡るよう、チューブを配置する。

6.ビニール被覆

ハウスサイド、谷下等も隙間が無いようビニールで覆い、密閉する。

7.湛水

水が一時的に溜まるくらいたっぷり水を流す。(写真2)

写真2 湛水時の様子

8.ハウスの閉め切り

20~30日間、閉め切る。2~3日後、還元状態が進んでいる場合は、どぶ臭がしてくる。

9.換気

ハウスを換気し、土壌を被覆していたビニールをはがして土壌を乾かす。

10.定植準備

土壌が適度に乾いてから、元肥散布、耕うん、畝立て、マルチ張り等を行う。深く耕うんしすぎると、消毒が不十分な土壌が表層に上がるため、有機物をすきこんだ深さまでとする。
高温期には、定植前から遮光を開始しておく。あらかじめほ場全体を適湿に整える。

費用・効果

土壌還元消毒とバスアミドとの費用と効果の比較を表に示しました。前年に同程度の枯れが発生した同じ生産者の2ヶ所のほ場で、それぞれ土壌還元消毒とバスアミド土壌消毒を実施した結果です。費用にそれほど差はありませんが、土壌還元消毒を実施したほ場は、バスアミドで消毒したほ場よりも枯死率は減少しました。

表 土壌還元消毒とバスアミドの価格と効果比較

注意点

土壌還元消毒を行う上での注意点は以下の通りです。
・地温30℃以上を15日以上確保できる日程で行う。梅雨明け後の晴天が続く期間が適する。
・大雨・台風時は、水が浸入しないようにする。
・処理期間は20~30日だが、天候不順の時期や、台風の接近のため途中でビニールを除去したりすると、地温が十分に上昇せず、防除効果が期待できない場合がある。このような時には処理を早めに打ち切り、薬剤による土壌消毒を行う必要がある。
・水はけが良すぎる施設では、還元状態が持続しにくいことがあるため、消毒の効果が落ちることがある。消毒効果が心配な場合は、酸化還元電位を測定し、還元状態を確認をすることで消毒効果を判断する(測定については、最寄りの農業普及・振興課までお問い合わせください)。

最後に

十分な温度が得られれば、薬剤消毒と比較しても費用対効果の高い方法です。毎年実施し、連作障害を防止しましょう。