ニンジンの「2畝同時播種+播種時除草剤散布」によるさらなる省力化

~全国農業システム化研究会実証調査の結果と今後の普及について~

はじめに

菊池地域のニンジン栽培は、菊陽町、大津町を中心に、282ha(平成28農林水産省作物統計調査より)作付けされ、県内1位の産地となっています。また、管理作業は、ほ場準備から出荷までほぼ機械化されています(図1)。

図1 菊池管内のニンジン栽培機械化一貫体系

地域営農法人へのニンジン導入の検討

菊池地域は、地域営農の法人化が進んでおり、現在16法人が活動しています。栽培品目は米+麦+大豆が中心で、1、3、4、8、12月に管理作業がない農閑期があります(図2)。また、水稲栽培後の空いたほ場が散見されます。そのため、法人が持つ資源(労力、土地、機械等)の効率的な活用による、収益性の向上が課題となっています。
そこで、平成29年度全国農業システム化研究会実証調査を活用し、ニンジンの播種、除草剤散布を更に省力化し、大規模法人への導入について検討しましたので紹介します。

図2 菊池地域の地域営農法人の作付け状況

1.品目の選定

米+麦+大豆の作付けの農閑期を活用し、米、麦、大豆より収益性の高い品目、なおかつ機械化されており、既存の機械、施設等が活用できる品目を選定条件とし、モデル組織、JA等と検討した結果、秋冬ニンジンを選定しました。

大規模法人に対応した機械化

①実証調査
大規模栽培を前提とした場合、限られた期間で効率的な管理作業が求められます。そこで、従来の「耕起、作畝、播種」と「除草剤散布」の2工程を2畝同時に行う、「2畝同時播種+播種時除草剤散布」(写真1)を実現することで、更なる効率化が図られると考え「全国農業システム化研究会」の事業で実証調査することにしました。

②調査結果
【作業時間】
2200mm幅のロータリと播種機を使い、慣行の2畝分の作畝と播種を1回で行うことができました。また、これに除草剤施薬機を組み込むことで除草剤散布も同時作業が可能となりました。これにより、播種と除草剤散布の10a当たりの作業時間が、28.5分から16分と、慣行に比べて43.8%削減できました(表1)。これなら、1haを160分で播種・除草剤散布でき効率的です。
【生育】
ロータリーや播種機は精度が高く、耕起・整地、播種深度等設定どおりに行うことができ、発芽、初期生育とも問題なく、その後の生育も順調でした(写真2)。
【収穫】
10a当たりの出荷量は4,640kgで慣行区より若干少なくなりましたが、上物収量は4,373kgで逆に慣行より多くなり、収量レベルに問題はありませんでした(表2)。

③経営評価
秋冬ニンジンを導入することで、8月中下旬のニンジンの播種、12月~3月までの収穫で農閑期がほとんどなくなり、労働力の有効活用が可能となります。
想定面積25ha栽培した場合、売上約116百万円、事業利益約90百万円の経営的効果が期待できます。
ニンジン栽培では、米、麦、大豆で利用される、トラクタ、ロータリー、播種機、防除機等の既存の機械を活用できます。収穫作業は、専用機が必要となるため購入する必要があります。出荷は、JAの選果場を利用することで省力化が図れます。また、水田での栽培であるため、生産を安定させるためには排水対策が必須となります。

写真1 実証調査で使用した機械
写真2 生育初期の状況(実証区)
表1 10a当たりの播種作業時間
表2 経営評価

おわりに

地域営農法人の運営については、収益向上、労働力確保等の課題があります。
解決方法の一つとして、露地野菜の導入が考えられます。今回の調査結果等を基に、それぞれの地域営農組織にあった、露地野菜の導入を推進していきます。

2018年6月号
県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課 福永 博文