一番茶摘採後の管理

~茶樹をわが子のようにかわいがり、良質な二番茶を生産しましょう~

一番茶が来た

5月は一年で最も忙しい一番茶の季節です。一番茶の後には息つく暇もなく二番茶芽が萌芽・充実し、摘採も始まりますが、その前にやるべき管理をしっかりやらないと、良い二番茶は取れません。
そこで、今回は一番茶摘採後の管理について紹介します。

一番茶後の整枝・更新

一番茶摘採後に遅れて樹冠面上に生長してきた新芽を「遅れ芽」と言い、これが二番茶摘採時に混入すると二番茶の品質が低下します。均一な二番茶をとるために、一番茶摘採から10日後を目安に摘採位置から5~10mm程度高い位置で整枝を行いましょう。
また、茶樹の樹高が高い場合や、枝条が細く密生している場合等には更新も検討しましょう。樹高を下げて作業性を良くするとともに、枝条を再生して芽伸びの良い茶園にできます。
更新には「浅刈り」、「深刈り」、「中切り」があります。それぞれのイメージと説明は図1と表のとおりです。
「浅刈り」は葉をかなり残してせん枝、「深刈り」は古葉が残らない程度にせん枝、「中切り」は枝条の太いところを水平または弧状に切ることです。
「中切り」は一番茶後に行います。中切り後は8月上旬までに2回整枝を行い、揃った枝を多く発生させ、芽数を増やしましょう。
また、更新園は新芽がチャノミドリヒメヨコバイ等から加害されやすいので、防除は徹底しましょう。

図1 更新イメージ
表 更新の説明

夏肥

夏肥は、二・三番茶の収量・品質の向上をねらったもので、芽出し肥同様、速効性のものが良いです。1回目は5月中旬、2回目は6月下旬にそれぞれに窒素成分で9kg程度施用しましょう。pHが低い茶園では硫安より尿素を使用した方が、pHの低下を抑えられます。
近年、夏肥を施用しない茶園が少なからず見られます。夏肥は樹体づくりのための大切な肥料です。土壌中の窒素成分が切れて茶樹が夏バテしないために、しっかりと夏肥を施用し、良い二番茶を作りましょう。

病害虫防除

一番茶後の病害虫防除で注意が必要なのが、クワシロカイガラムシとチャトゲコナジラミです。同時防除が可能ですので、両種がいる茶園では作業性、経済性を考慮し同時防除を行いましょう。ここでは新規侵入害虫であるチャトゲコナジラミ(チャトゲ)についてご説明します。

生態は2ヵ月サイクル

卵→若齢幼虫→老齢幼虫→成虫→卵を4月から10月頃まで2ヵ月サイクルで4回繰りかえします。
卵期間は約18日間です。4月下旬頃にふ化し、5月中下旬頃の若齢幼虫期が防除適期となります。

写真1 チャトゲコナジラミ成虫
写真2 チャトゲコナジラミ卵・1齢幼虫

チャトゲは天敵に弱い!

チャトゲの天敵はシルベストリコバチという寄生峰です。この蜂が増えることでチャトゲを抑制できます。しかし、シルベストリコバチは農薬に弱いため、他害虫への防除の際には、影響の少ない農薬を選んでください。

写真3 シルベストリコバチ

すそ葉を好んで生息

チャトゲは基本的にすそ葉の葉裏に卵を産み付けます。このため、産卵終了後(成虫発生収束後)にすそ刈りを行うことで効果的に生息量を減らすことができます。多発している茶園ではすそ刈りを深めにしましょう。

写真4 幼虫が寄生した葉裏
写真5 すす病が発生した茶園

薬剤防除方法

乗用型防除機ではダニ噴口の使用による防除をします。動噴の場合はすそ部を重点的に散布します(図2)。
また、薬剤散布前にすそ刈りを行うことで、薬液が寄生部によくかかり、防除効果が上がります。
チャトゲコナジラミとクワシロカイガラムシ第1世代との同時防除効果は高い(農業の新しい技術No.682)ので、両方の害虫が多い茶園では、双方に登録されている薬剤を散布することで同時に防除を行うことが可能です(図3)。

図2 すそ重点散布
図3 薬剤散布時期の違いがチャトゲコナジラミ卵・幼虫の密度に及ぼす効果(2014 年)
※農業の新しい技術から抜粋

茶樹を「むぞがる」

一番茶後の管理というのは、良い二番茶をとるための管理です。一番茶摘採で疲れた茶樹を「むぞがり」(球磨弁で「かわいがる」の意味)、良質な二番茶を生産しましょう。