値段の高い今だからこそ

〜肉用牛のばっちり繁殖管理でしっかり儲けよう〜

繁殖技術を見直そう

繁殖牛は毎年子牛を産ませ、子牛を販売することで収入を得ます。この毎年子牛を生ませること、つまり1年1産の達成が経営安定からも必要です。
繁殖技術の重要な点をまとめましたので、それぞれの経営において、再点検の機会にしてください。

1カ月延びれば4万円の損

1年365日から妊娠期間の285日を引くと80日間が残ります。この期間に種付けを終えなければ1年1産は達成できません。分べん後は約20日で最初の発情があり、その後も約20日ごとに発情が来ますので、妊娠のチャンスは4回あることになります。よく観察して見逃さないようにすることが大切です。
分べん後の発情を見逃すと、次の出産までの間隔が伸びてしまい、その間の生産費が余計にかかってしまいます。妊娠期間が1カ月延びると、その間に必要とする生産費は約4万円程度です。つまり、1ヶ月ごとに4万円ずつ損失が増加してしまうことになります。
1年1産を達成するためには、空胎期・妊娠期・分べん期・哺乳期それぞれに適した飼料を給与することも重要です。繁殖牛の状態は、常に食欲があり、毛ヅヤも良好で活気があるように管理します。
飼料給与後は横になって反すうすることが正常な状態です。飼料を食べる前、食べている時、食べた後の様子と全ての状態において、異常がないかよく観察しましょう。

肥りすぎ、やせ過ぎは注意

繁殖牛の体の脂肪の蓄積状態を示すものとしてボディーコンディションスコア(BCS)があります。
これは脂肪の蓄積状態を1から5までの5段階で評価するものです。ランク1はやせすぎ、2はやせぎみ、3は普通、4は肥りぎみ、5は肥りすぎ…というように診断します。
可能であれば、月2回、個体ごとにBCSを記録し、飼料給与量を増減して脂肪の蓄積状態を制御することが大切です。妊娠牛のBCSは3~3.5、授乳牛の場合は2.5~3が理想的です。

適期は発情開始28時間前後

1年1産を確実なものにするためには、発情を見逃さず種付けすることです。飼料給与時など繋いでいる時に、牛の後ろから外陰部や膣(ちつ)粘膜の状態を観察します。発情している牛は外陰部がふくらみ、膣の粘膜は充血し、ねばねばした粘液がたれたりします。尾は多少上げ気味で、人が触れ上に持ち上げても、抵抗なく上げさせます。しばしば排尿するのも特徴の一つです。

また、繋いでいる状態から解放した後も、行動をよく観察しましょう。発情が近い牛は行動量が多く、他の牛に乗ったり(マウンティング)、乗られたりしています。特に乗られている時に逃げずに、じっとしている牛(スタンディング)は要注意です。

和牛の発情時間は平均20時間とされており、人工授精の適期は発情開始後約28時間前後が良いとされています。わかりやすくすると、スタンディングのピークを発見したら、約半日(10時間)後が人工授精の適期に当たります。
妊娠期間は平均285日とされています。分べん予定日が近づいたら産室の清掃と消毒を行い、牛床を乾燥させ、敷料を十分に入れて分べんの準備を済ませたら、分べんの際に介助が必要になる牛もいますので、牛の様子を観察しましょう。

最後に

3つのお願いをします。
1つ目は、畜産全体に言えることですが、観察がとても大事です。眺めるのではなく、しっかりと観察に努めてください。牛のちょっとした変化にどれだけ気付けるかで、繁殖成績が大きく変わってきます。
2つ目は、掃除です。畜舎の中はもちろん、周辺までキチンと掃除しましょう。掃除をしただけなのに、成績が向上することがよくあるのです。
3つ目は、敷地の外から見える場所に花を植えましょう。少しだけで結構です。ちょっとしたことですが、これだけで雰囲気が変わり、周囲の目も変わります。
一時期と比べ子牛価格は落ち着きを見せていますが、まだ高い状態が続いています。
こんな時だからこそ、人にも牛にも環境にもやさしい畜産を実践していただき、心も懐も大きく育んでください。