収穫期から貯蔵期間の管理ポイント

~カンキツ「不知火」の果皮障害軽減対策~

はじめに

近年、カンキツ「不知火」において、夏秋季の過乾燥、収穫期の温暖な降雨、予措・貯蔵中の結露や乾燥等により果皮障害が発生し、減収や果実品質の低下が問題となる年があります(写真1、2)。昨年は、12月上旬に気温の高い状況でまとまった降雨があったため、水腐れが多発しました。
そこで、今回は「不知火」における果皮障害発生軽減のための管理ポイントについて紹介します。

写真1 水腐れ症
写真2 こはん症

主な果皮障害

(1)水腐れ症

「不知火」では、着色が進み果皮が老化することで、亀裂(クラッキング)が入り、果皮深部まで水が浸入し、水腐れ症が発生します。
亀裂は11月下旬頃に入り始めるため、その後温暖な降雨や結露により果実が濡れた状態が続くと、水腐れ症の発生が多くなります。
対策としては、着色終期にジベレリン0.5~1ppmを散布する方法があります。ただし、完全着色後の散布では効果がないため、着色の早い果実が8分程度着色した頃に散布することがポイントです(注:収穫前使用日数は、収穫7日前まで)。
また、果実が乾きやすい環境を作ることが重要であり、密植を改善し、園内の通風を良くすることも大切です。

(2)こはん症

こはん症は、近年では平成25年に多く発生しました。原因としては、①夏秋季(8月~10月)の高温少雨による土壌乾燥、②収穫期の5℃以下の低温や乾燥、③樹体の栄養不足等が考えられます。
対策としては、①夏秋季干ばつ時の定期的なかん水、保水対策としてシートマルチや敷きワラの利用②果実への袋掛けやサニーセブン等で樹体を覆う等の防寒対策、③適切な肥培管理等が挙げられます。

図1 「不知火」の土壌水分管理の違いとこはん症発生度(天草農業研究所、2015年)

予措・貯蔵管理

(1)予措管理

予措は、果皮の水分を減らし、果皮の強度を高め、貯蔵中の品質低下や腐敗果を減らす効果があります。通常は、3~5%の果実減量を目安に3~4週間かけて行います。
ただし、収穫前10日以上降雨がなく乾燥が続いた時は、予措期間を短くし、急激な乾燥を防ぐためコンテナ全体を新聞紙で包む等、軽めの予措(3%程度)を行います。
逆に、収穫前に降雨が多く、果皮の水分が多い場合は、コンテナの風通しを良くし、強めの予措(5%程度)を行います。
急激な予措は、こはん症発生を助長しますので、時間をかけてゆっくり行いましょう。

(2)貯蔵管理

貯蔵は減酸を進めて食味を向上させるために行います。
貯蔵条件は、温度5~10℃、湿度85~90%で、コンテナを詰めすぎないことがポイントです。また、貯蔵中に日中と夜間の気温差が大きいと結露しやすく、腐敗やこはん症の発生が多くなるため、貯蔵庫内の温湿度の変化を少なくする必要があります。このため、気象条件に応じた管理を徹底しましょう。
換気は、厳寒期は暖かい日中に行い、気温が高くなる4月以降は気温が低い早朝に行います。
床がコンクリートの貯蔵庫は乾燥しやすいので、好天が続いた時は、打ち水やコンテナ全体を透湿性シート等で被覆し、湿度を保ちます(写真3)。

写真3 コンテナ全体をシート等で被覆(資材:透湿性シート)

(3)MA包装資材の活用

3ヵ月以上の長期貯蔵を行う場合は、MA包装資材(Pプラス)で個装することで裸貯蔵より、腐敗や減量が軽減されます(表1、写真4)。予措不足や湿度が高い条件で個装すると、予措戻りで浮皮や腐敗が発生するので注意しましょう。

写真 Pプラスで個装した不知火

最後に

今回は、収穫期から貯蔵期間の管理ポイントについて述べさせていただきました。特に収穫時に果実を雑に扱うと、果皮が傷み果皮障害や腐敗果の発生を助長するため、果実は丁寧に扱うことを心掛けましょう。また、果皮障害の発生を軽減させるためには、摘果、施肥、せん定、かん水等の基本管理を徹底し、樹勢を適正に保つことが重要です。
日頃の栽培管理から貯蔵管理まで適切な管理により、高品質果実の生産を行っていきましょう。