堆肥生産技術と利用

~資源循環型農業に向けたポイントをおさえた良質堆肥生産と施肥利用~

はじめに

近年、畜産農家や堆肥センターの努力により、家畜排せつ物の多くは堆肥化され、耕種農家が利用するなど、資源型農業の取り組みが進んでおります。
ここでは、良質な堆肥生産のためのポイントと利用時の留意点について紹介します。

一次発酵

1.水分調整

堆肥化の主役は好気性微生物で、この微生物の活動が活発になるように環境条件を整えることが、堆肥化を進める上で重要になります。
その条件の一つがスタート時の水分調整です。水分を適正範囲(55~70%)に調整することで、通気性が確保され、微生物の活動が活発になります。
スタート時の水分を推定する方法として、バケツを用いた方法があります。
事前に重量を量った10Lバケツと重量計を準備します。図1の①~④の手順に従い、生ふんの重量(kg)を量ります。生ふんの重量をバケツの容積(10L)で割った値が、生ふんの容積重(kg/L)になります。表1を参考にすることで、堆肥の容積重から堆肥中の水分を推定することができます。
水分が高い場合の調整には、モミガラやオガクズなどの副資材の利用が有効です。ほとんどの場合、生ふん時の重量を5~7kg/Lにすることで水分が適正範囲内になります。
ある程度、水分を調整すると図2のように堆肥を手に握ることで水分を簡易に推定することができます。この時、強く握っても手のひらにあまり付かない(50%前後)、さらさらした状態で手のひらにも付かない(40%以下)場合には、加水が必要になります。

図1 バケツによる水分含有量の推定法
表1 家畜ふん別の容積重・水分

2.温度管理と切り返し・かくはん

適正水分で堆肥化をスタートすると、すぐに堆肥温度が上昇します。これは、好気性の微生物が有機物を分解し、堆肥化が順調に進んでいる証拠です。堆肥温度が上昇すると堆肥化の進行が早まるとともに、繰り返し切り返しを行い、60℃以上を5日以上保つことで、病原菌や寄生虫、雑草の種子が死滅します。ハエの繁殖サイクル(春は23日、夏は9日)よりも短い期間で切り返すことで、ハエの発生を抑えることもできます。
現在は、堆肥用の温度計も市販されていますので、温度上昇の確認を行いましょう。
堆積中は主に空気に触れている表面部分でしか発酵が進みません。そのため、ホイルローダーなどで中心部の堆肥を表面に出す切り返しや発酵機等によるかくはんにより、堆肥が空気に触れるようにする必要があります。切り返すタイミングは、一次発酵では、毎週行うことが良いとされています。近年では、ドリル型のかくはん発酵機などの機械も普及してきています。

図2 水分含有量の推定方法

二次発酵

一次発酵中は、切り返し後の堆肥の温度が50℃を超えますが、微生物により易分解性有機物の分解がある程度完了し、二次発酵に入ると、切り返し後でも40℃程度までしか上がらなくなります。この期間は3~4週おきに切り返すことで、残った有機物の分解が緩やかに続き、安定した堆肥になっていきます。堆肥化の終りは易分解性有機物の分解が終わる頃とされています。畜種や処理方法によって異なりますが、例えば、牛ふんは40%の有機物を含み、堆積切返し方式であれば、1日の分解率は0.4%であるため、100日ほどで処理されることになります。

施肥

堆肥の成分は畜種や材料、堆肥化方法や期間等で変わってきます。
そのため、堆肥の製造・販売者は当然ですが、堆肥を自家で利用する畜産農家でも成分分析を行うことで、より適切な施肥量を把握できます。
また、作物、土壌の状態によって施肥量は変わりますが、適正量をムラなく散布することが重要です。多くの方が、作物ごとの施肥基準を参考に施肥をされているかと思います。
図3は堆肥を1t/10a、2t/10aで散布した時の1㎡の状態を示しています。広いほ場ほど、あらかじめ散布量に応じた見た目を知っておくと散布量の調整の目安となります。

図3 1t/10a、2t/10aでの散布

最後に

熊本県では、毎年、耕畜連携による堆肥利用を促進するために堆肥共励会・スキルアップセミナーを開催しています。共励会が始まった20年前に比べ、生産者の技術研さんが進み、良質な堆肥が多く出品されるようになりました。
また「くまもと堆肥ネット」で検索すると県内の堆肥の生産や技術情報が掲載されております。堆肥を生産されている方は、ぜひ共励会に出品して、良質堆肥づくりの一助として下さい。

2018年12月号
県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課