宿根カスミソウのさらなる日持ち性向上

~より長く楽しんでもらえる宿根カスミソウを届けるために~

はじめに

菊池地域では、宿根カスミソウが約40㏊栽培されています。
JA菊池花き部会では、これまで、宿根カスミソウの日持ち性向上のための前処理(採花後から出荷・輸送までに切り花に行う処理)方法の改善に取り組んできました。
現在の前処理方法は、採花直後に水に浸け、出荷調整後にチオ硫酸銀錯塩(以降STSと記述する)と糖を含む前処理剤クリザールかすみの20倍希釈液を吸収させ、輸送中には、糖と殺菌剤を含むプロフェッショナル2の100倍希釈液を入れたバケツにカスミソウの切り口を浸けてバケツごと縦箱で市場まで輸送してきました。
このような状況の中、昨年、花き部会のカスミソウ生産者より、「STSを採花直後から吸収させたほうが、日持ちが良いので、そろそろ前処理方法を変えても良いのではなか」という提案がありました。また、前処理のコストの削減からも、高価な前処理剤を多量に使用する方法を見直したいとの要望もありました。
そこで、前処理方法の改善のため、菊池地域で取り組んできた事例について紹介します。

前処理剤の特徴

まず、カスミソウの日持ち性向上のために使われる前処理剤と成分について説明します(表1)。
前処理剤は、生産者が採花後に花をつける水に溶かして使用し、日持ちを良くする働きがあります。
STSは、老化ホルモンであるエチレンに花が反応できないようにして、老化を防ぐ物質です。
糖、有機酸は切り花のエネルギーとなり、開花を促進したり花の発色を良くします。抗菌剤は、水中の菌の増殖を抑制し、界面活性剤は水の吸い上げをスムーズにします。
前処理剤によって、含まれる成分が異なるため、それぞれを組み合わせることによって、花を長持ちさせることができます。

前処理剤の検討(試験)内容

「日持ち効果が高く、低コスト」を目標に前処理方法を検討しました。
試験は図1に示したタイムスケジュールで行いました。まず、収穫した花に3時間の採花後処理をし、1時間の出荷調整の後、出荷調整後処理を16時間行いました。その後、輸送処理に30時間とり、トラックでの輸送時間としました。
慣行は、採花後処理に水を使用し、出荷調整後処理にSTSを含むクリザールかすみの20倍希釈液に10時間以上浸けて、輸送処理にはSTSを含まず糖と殺菌剤を含むプロフェッショナル2に浸けています。

試験①では、採花後処理でSTSを含むK20‐Cと抗菌剤のブースターを混ぜたものに浸け、出荷調整後処理も同じ液を使用し、輸送処理にはクリザールかすみの30倍希釈液を使用しました。

 

試験②では、採花後処理はK20‐Cに浸け、出荷調整後処理は水、輸送処理は試験①と同様にしました。

 

試験③は、採花後処理は水、出荷調整後処理はK20‐C、輸送処理は試験①と同様です。

 

その結果、試験①~③のいずれも、慣行より4日ほど、日持ちが延長しました。
次に、同様の試験を行い、小花中の銀濃度の調査をしました。表3のような結果となり、採花後処理から輸送処理まで、STSを含む剤を使用した試験①が、最も銀濃度が高く、次に試験③が高いという結果になりました。
また、コストの比較を表4に示しました。何れの改善方法でも、慣行よりも2割~6割安くなり、大幅にコスト削減できることがわかりました。
これらの結果から、試験③が最も安く、日持ち性向上効果も高いという結論になりました。
今後、出荷調整後処理はK20‐Cを、輸送処理はクリザールかすみの30倍希釈液を使用する方法に移行する方向で検討を進めています。

写真1 日持ち試験の様子

まとめ

宿根カスミソウの日持ちにおいて、長時間、STS吸収させることが有効です。各産地の出荷体系に合わせて前処理剤を適切に使用することが、宿根カスミソウをより長く楽しんでいただく上で重要であり、それぞれの産地で工夫をする必要があります。

2018年11月号
県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課