平成30年産水稲の反省

~相談事例と来年度に向けての対策~

はじめに

本年度も、県下各地域の農業普及・振興課へ、水稲栽培に関して、様々な相談がよせられています。
今回は、平成30年産水稲の生育とともに相談事例を振り返り、来年以降の改善に向けた指導内容をご紹介します。

平成30年産水稲の生育概況について

農林水産省の公表(10月15日時点)によると、平坦部においては7月中旬から8月にかけて好天に恵まれたこともあり、籾数は平年と比較すると「やや多い」~「多い」となりました。作柄は県北で「102(やや良)」、県南で「104(良)」となっています。しかし、出穂期以降の高温や9月以降の日照不足により、白未熟粒の発生や玄米の充実不足がみられる地域があります。
阿蘇においては、6月が平年並みの推移をしたことから、籾数は「平年並み」となりました。7月末に出穂期を迎えて以降、好天であったことから登熟は「やや良」で作柄は「102(やや良)」となり品質も良好となっています。
天草においては、5月から6月にかけて日照時間が多く確保されたことから籾数は平年と比較すると「多い」となりました。7月が好天に恵まれたものの、籾数が多くなったことや台風による籾ずれや倒伏等によって登熟は「不良」で、作柄は「103(やや良)」となり、白未熟の発生や充実不足がみられています。
以上のことから、県全域の平成30年産水稲の作柄は「103(やや良)」と全国の作柄「99(平年並み)」と比較すると良好となっています。

現場からの相談事例について

1.育苗

水稲栽培は「苗半作」との言葉があるように健苗(写真1)育成がその後の生育に重要となりますが、毎年多くの相談事例があっています。

1.出芽ムラや生育不良(全地域)
診断:本年は育苗期間中が高温傾向であったため、土壌中の微生物の活動による酸素の消耗が多かったと考えられます。そのため、常時湛水や排水不良の苗床で生育不良が発生しました。(写真2、3)
対策:プール育苗や水苗代はきちんと排水ができるようにしておき、苗床に湛水した後は必ず落水を行い酸素を十分に供給するようにしましょう。

2.種子や苗箱でのカビが発生(菊池、阿蘇)
①種子のカビ
診断:浸種を行った種子を長期間保存したことによってカビが発生しました。
対策:浸種を行った種子を長期保存しなくてもいいように、移植日に応じて浸種・播種の計画を立てるようにしましょう。

②苗箱でのカビ
診断:苗箱に付着していたカビが出芽器の加温加湿によってより増殖したと考えられました(写真4)。
対策:一度カビが発生した苗箱は消毒しましょう。また、苗箱は使用(田植え)後に洗浄するとともに、次年度使用する際は、前年の根などのゴミが付着していないかを再度確認するようにしましょう。

③苗の白化(菊池、阿蘇)
診断:被覆資材(太陽シート等)を早朝に剥がしたため、出芽・緑化したばかりの苗が日中の強い太陽光により葉焼けを起こし白化したと考えられました。
対策:被覆資材を剥がすタイミングとしては太陽光が弱まる夕方もしくは一日曇天の日が適しています。

2.本田管理

1.病害(いもち病)の発生(阿蘇)
診断:いもち病に罹病したつけ苗が水口近くに残ったままだったため、入水によっていもち病の菌が本田に広がったと考えられました。
対策:つけ苗は水田に残しておくと様々な病害虫の温床になるため、補植が終わって必要がなくなったら早急に除去しましょう。

2.田植え後の生育不良(宇城、玉名、芦北)
①ガスによる生育不良
診断:減水深の小さい水田で田植え後に土壌中の未熟有機物が分解されて発生したガス(硫化水素ガス等)により生育障害が発生しました。
対策:落水して軽く田を干し、ガス抜きを行うとともに土壌中に酸素を供給するようにしましょう。

②苗箱まかせ(育苗箱全量施肥)での生育不良
診断:苗箱まかせを使用したところ、梅雨の日照不足の影響もあって徒長気味となり、梅雨明け後の急激な気温上昇や一時的な乾燥が重なって植え痛みが生じました(写真5)。
対策:苗箱まかせを使用すると慣行と比較して苗丈が長くなりやすいので育苗日数を短くしましょう。また、育苗箱の保水力が小さいので適切なかん水が必要です。移植後に急激な気温の上昇や乾燥が予想される場合は深水で管理しましょう。

写真1 健苗の写真
写真2 出芽不良の苗(阿蘇)
写真3 出芽不良の苗(鹿本)
写真4 苗箱のカビ(阿蘇)
写真5 枯れた稲(玉名)

2019年1月号
阿蘇地域振興局 農業普及・振興課