排水対策で収量アップ(露地ナス)

~梅雨の長雨や集中豪雨に負けないために~

はじめに

もうすぐ暖かい春がやってきます。露地野菜を作付される方々の多くは、ほ場の準備を始められるころではないでしょうか。施設園芸と異なり、露地野菜の場合は栽培環境を制御することが難しいため、降った雨水を「溜めない」ための排水対策が最も重要となります。
平成28年は降水量が比較的多い年でした。球磨地域の夏秋露地ナスで、排水不良ほ場の根を調査したところ、通路の高さで水が停滞し、太根は地表面の浅い部分にしか張っていないことがわかりました(写真1)。
今回は排水対策の方法と事例を紹介します。

写真1 排水不良ほ場で栽培したナスの根

排水対策のポイント

1.ほ場の選定

連作障害を防ぐために毎年ほ場を移動することを基本とします。それに加え、排水の良いほ場、もしくは排水口へ水を導きやすいほ場を選定することが大切です。

2.土壌物理性の改善

排水の悪いほ場を使わざるを得ないときは、ナスを栽培していない期間に、緑肥の栽培や有機物を施用し、土壌の物理性を改善します。また、極端に作土が少ないほ場は客土が必要な場合もあります。

3.水みちを作る

弾丸暗きょやサブソイラによる心土破砕を行い、水の縦浸透を促進します。暗きょの施工も有効です。しかし露地野菜の場合は、水稲との輪作になることが多いため、極端な土壌改良には限界があります。そこで、額ぶち明きょの設置による表面排水が重要な対策の一つになります。ほ場を選定する際に、「どこに水が残りやすいか」、「どこに排水口があるか」、「ほ場に隣接する水田はほ場より高い位置か低い位置か」などを観察しておきます。そしてほ場準備をするときに、排水口にむけて水が流れるよう傾斜をつけて額ぶちを掘ります(写真2、3)。畝を立てる際も、その額ぶちへ水が流れるよう通路にも傾斜をつけ、必要に応じて、適当な距離でうねを横方向に切ります。

写真2 奥に行くほど深い
写真3 奥にある排水口

4.水から離す

①~③の対策ができない、または実施しても排水が不十分な場合は、高畝とすることで「水から離す」対策も併せて実施します。

排水対策の事例

球磨地域では、平成28年に排水の悪かったほ場3か所で栽培終了時の根の状態を調査し、各農家で可能な対策を実践しました(表1)。
その結果、平成29年は栽培期間中の生育状況も良好で、病害も少なくなりました。また、栽培終了時の根量も増えて、平成28年と比較して、単収は約1.7倍(図1)、販売金額は約1.8倍となりました。平成29年は降水量が少なく、球磨地域農協茄子部会全体としても増収しましたが、増収率は対策を徹底したA~Cのほ場3か所の平均の方が高い結果となりました。

表1 実施した対策の事例(額ぶち明きょは実施)
図1 単収の比較

注意すべきこと

球磨地域で調査をしたこの3か所のほ場では、表1に記載する対策のみを実施したわけではありません。できる限りの対策を「組み合わせ」て取り組んだ結果、生産安定・増収につながりました。「この対策をすれば安心」というわけではなく、様々な対策を組み合わせて実施しましょう。
また、ほ場によっては取り組めない対策もあります。ほ場ごとに状況を把握し、我が家に合った適切な対策を行いましょう。

写真4 生育状況が改善(ほ場A)
写真5 根の量が増加(ほ場C)

おわりに

排水対策は、定植してからではできない作業がほとんどです。
近年は気象変動が大きく、年間降水量はあまり変わらないものの、集中的な降雨による被害が目立ちます。被害に合ってから考えるのではなく、被害を軽減できるよう、しっかりとほ場準備を行いましょう。

2019年3月号
県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課