搾乳ロボット

~県内最大の酪農地帯 菊池地域における導入状況とその利用~

はじめに

菊池地域は県内でも有数の畜産地帯であり、特に酪農については農家戸数、経産牛頭数ともに県内の約4割を占めます。
一方、近年は酪農においても農家の高齢化や担い手不足により農家戸数は年々減少しています。
また、酪農経営では毎日の飼料調製・給与作業に加え、朝夕に行われる搾乳作業など労働時間が長いことも長年の課題です。
このような背景の中、酪農分野では様々な労働力削減機器の導入が進んでいます。今回は最近特に注目度が高い搾乳ロボットについて活用方法などを紹介します。

菊池地域における搾乳ロボット導入状況

菊池地域では平成19年頃から搾乳ロボットの導入が始まりましたが、平成27年度からは「畜産クラスター事業」を活用した導入が進んでおり(表1)、現在は4メーカー30台が稼働しています。

表1 菊池地域の搾乳ロボット導入状況

搾乳ロボットによる搾乳システムについて

搾乳ロボットでは、搾乳する際に個体に応じた濃厚飼料が給餌されますが、この濃厚飼料を目的に搾乳牛はロボットの場所へやってきます。そのため、搾乳ロボットを効率的に稼働させるためには牛舎構造が非常に重要です。牛舎構造には大きく分けて「フリー方式」と「一方通行方式」の2パターンがあります(図1)。また、搾乳する牛個体には全て識別タグをつけ、搾乳間隔などの個体情報を搾乳ロボットが判断し、その牛を搾乳するかしないかを搾乳ロボット入口で選別します。

図1 搾乳ロボット設置の牛舎構造(左:フリー 右:一方通行)

時間短縮だけじゃない! 搾乳ロボット導入によるメリット

搾乳ロボットは搾乳作業が自動化され労働時間が短縮されることはもちろんですが、導入農家に聞き取り調査を実施したところ、ほとんどの方が「個体管理のしやすさからの繁殖成績の向上」をメリットに挙げられています。搾乳ロボットでは前述のとおり、牛に個体管理用のタグがついているため「個体乳量」「搾乳回数」「乳成分」「濃厚飼料摂取量」「反すう回数」など、一頭ごとの牛の状態を細かく把握することができます。これらのデータを基に給与量の調整など個体に応じた管理ができるため、繁殖成績の向上につながり、結果的に生乳生産量の増加につながっていきます。

搾乳ロボットモニター

気を付けよう! 搾乳ロボット導入における注意点

これまで搾乳ロボット導入のメリットを紹介してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。注意すべき点が大きく2つあります。

 

1点目は、「機器トラブルの対応」です。搾乳ロボットでの作業やデータはリアルタイムで個人所有のスマートフォンで見ることができます。それと同じように機器にエラーが出た場合、スマートフォンに知らせてくれます。これはとても便利な機能ですが、ロボットは24時間稼働しているため、昼夜を問わずその対応に追われることになります。もちろんメーカーもトラブル時には24時間対応してくれますが、機器が停止している間は搾乳ができず、経済的な損失につながります。このため、ある程度のトラブルは自分で対応する必要があり、機器について理解しておくことが望ましいと言えます。

 

2点目は搾乳ロボットに対応した飼料の設計です。先に紹介したとおり、搾乳時に牛を引き寄せるための濃厚飼料が給与されることから、この飼料とTMR飼料のトータルバランスが非常に重要となり、全体の飼料設計を考えないと、即座に乳量等に影響します。

自動搾乳中!

最後に

搾乳ロボットの効果を最大限に発揮するためには、牛舎構造や飼料メニューなど十分に検討を行うことが重要です。また、中にはどうしてもロボットにあわない牛もいるため、全頭をロボットのみで搾乳するためには、それに対応した牛群を作っていく必要があります。搾乳ロボットの導入を検討される場合は、最寄りの農業普及・振興課へご相談ください。

順番待ちする牛たち

2018年8月号
県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課