施設栽培不知火類(デコポン)の 高品質果実生産のための水管理

~秋期の降水量の増加を考慮した水管理で所得アップ~

はじめに

本県の不知火類(デコポン)は、全国一の生産量を誇り、「熊本の顔」ともいえる商材です。近年、低糖果実や外観不良な果実の生産割合が増加する傾向にあり、特に平成29年産は顕著でした。
今月から収穫期までは、施設栽培の高品質果実生産にとって重要な時期です。品質向上に努めて、所得アップを目指しましょう。

1.果実品質低下の要因

施設栽培「不知火」の高品質化には、9月以降の土壌水分が大きく関係し、秋期の降水量の増加によって果実品質が低下していることがうかがわれます(図1)。
このため施設栽培では、秋雨をカットするための天井ビニルの適期再被覆と適切なかん水(水管理)が重要です。

2.天井ビニル再被覆の適期

天井ビニルの再被覆は、加温栽培では9月上旬、無加温・屋根掛け栽培では、10月中旬までに実施し、雨水を園内に入れないようにしましょう。
しかし、台風の襲来により、やむをえず天井ビニルの再被覆が遅れたり、除去する場合には、シートマルチ等の全面被覆と排水対策により、園内への過剰な降雨侵入を防ぎましょう。

3.9月以降の水管理

(1)高糖度果実生産
加温栽培では、9月以降は節水管理により糖度の向上を図ります。
土壌水分を少なくし、樹体に適度な乾燥ストレスを与えることで、糖度が高くなります(表1)。

 

かん水の適量は、土壌や根域の深さ等により異なるため、圃場の状態に応じて加減しましょう。加温栽培では9月の目安として、果実横径の肥大量が10日で2ミリ程度に鈍るか、土壌水分計(pFメーター)のpF値2.5を超えたら、少量をかん水しましょう(表2)。
無加温ハウス栽培では、10月以降を節水管理とし、10日~14日間隔で5~10t/10aをかん水しましょう(表3)。

(2)外観向上(浮き皮果、汚れ果症の軽減)
①浮き皮
9月以降を少量かん水にすると、浮き皮の発生は、多量かん水の場合に比べて3分の1程度に軽減されます(図2)。また、施設内が過湿とならないよう注意します。

 

②汚れ果症
汚れ果症(写真1)の発生要因は明らかではありませんが、秋期に降雨が多いと多発する傾向にあります。そのため、天井ビニルの適期再被覆や循環扇の活用など、施設内が過湿にならないよう努めるとともに、秋期まで適期に防除を行いましょう。

 

おわりに

施設栽培は、気象要因に関係なく、園地条件や樹体生育に応じた土壌水分管理が可能です。定期的な果実分析を行い、水量計を活用してかん水量を把握するなど、適切な水管理により、果実品質や外観の向上に努めましょう。
これからの季節は、秋雨、台風など想定外の気象変動が予想されます。昨年産の反省も踏まえ、本年良い結果が得られるよう適期管理に努めましょう。

写真1 汚れ果症果

2018年9月号
県南広域本部 芦北地域振興局 農業普及・振興課