水稲新品種「くまさんの輝き」について

~菊池地域での高品質米生産に向けた取り組み~

はじめに

平成29年に水稲奨励品種に採用された「くまさんの輝き」は、本県をはじめ西日本各地で栽培されている「ヒノヒカリ」と比べても同等以上の極良食味で、熊本県産米をリードする品種となることが期待されています。県では、山麓準平坦地(標高100~300m)を中心に、減農薬減化学肥料での栽培を進めるとともに、生産された米は「熊本県推奨うまい米基準」に基づき、タンパク質含有率や検査等級などにより区分し販売する方針です。
菊池地域は、古くからうまい米の地帯として知られていますが、「くまさんの輝き」の作付けにあたっては栽培方法を十分検討するとともに、生産された米の品質を確認しながら、同品種の生産に取り組んでいきたいと考えています。今回は、現地検討会を通した活動状況をご紹介します。

生産者を集めた現地検討会の開催

菊池地域では、平成28年に生産者7名で5ha、平成29年は生産者14名で8haで「くまさんの輝き」を作付けしています。農業普及・振興課では生産者やJA・市町担当者を対象に、生育診断のポイントとなる時期に現地検討会を開催し、管理面の注意点などのアドバイスを行ってきました。検討会では、同じ品種でも周辺環境や管理の違いにより葉色や茎数、生育ステージなどが異なってくることを確認することができました。
また、収穫後には食味計で各生産者の米のタンパク質含有率などを測定し(表1)、次年度以降の栽培方法を考えていただくことにしています。

表1 平成29年産くまさんの輝きタンパク質含有率分布
・生産者14名の「くまさんの輝き」のタンパク質含有率分布。 
・熊本県推奨うまい米基準におけるたんぱく質含有率の基準
Sランク:6.5%以下 Aランク:7.0%以下
現地検討会(H29.8.1)

展示ほにおける検討

現地検討会では、農業普及・振興課で設置した展示ほを通して「くまさんの輝き」の生育特性等を確認しています。その内容は以下のとおりです。

1.ヒノヒカリとの生育特性の比較

平成28年に菊池市に設置した奨励品種決定調査(菊池市)の結果は表2のとおりです。
穂数型品種の「くまさんの輝き」は早めに茎数が確保でき、最終的に穂数もヒノヒカリより一割以上多くなりました。稈長は同程度で穂長は「くまさんの輝き」より若干短くなりました。出穂期は「くまさんの輝き」が5日遅く、収穫適期も3日遅くなりました。収量は「くまさんの輝き」が5%程度多く、千粒重は若干重く、検査等級は若干優れていました。
タンパク質含有率は両品種とも同じ値となりました。

2.肥料展示ほの実績

平成28年産に90日タイプと100日タイプの有機入り一発肥料を比較検討した結果は表3のとおりです。
穂数型の品種ということもあり分げつが旺盛で、特に90日タイプでは茎数が多くなり、有効茎歩合が低下しました。しかし、最終的な収量に大きな差はなく、検査等級、タンパク質含有率も同じとなりました。

地域での勉強会等の取り組み

「くまさんの輝き」は「ヒノヒカリ」を上回る食味評価が得られており、今後、県産米をリードする品種と期待されています。一方で、これから市場価値を高めていくためには、異なる環境で栽培されても一定の基準以上の“うまい米”として評価を得ることが必要になります。
菊池管内の生産者は、平成30年にはさらに増加すると見込まれます。様々な栽培環境で生産された米が一定の基準を確保できるよう、今後も栽培検討会を続けるとともに、生産された米の品質を確認して翌年度の改善につなげる取り組みを続けていきます。
このような取り組みを県内各地域で行い、「くまさんの輝き」が他県の品種に優る評価を得ていくことで、今後の産地間競争に打ち勝っていくことを願っています。

表2 平成28年度奨励品種決定調査試験成績
表3 平成28年産くまさんの輝き肥料試験成績

2018年1月号
県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課