水稲新品種「くまさんの輝き」の栽培技術(第1回)

~くまもとのトップグレード米を育てる米づくり~

はじめに

平成29年から本格的な販売が始まった「くまさんの輝き」は、高温年でも白未熟粒になりにくく、外観品質、食味ともに優れる(平成28年、29年連続で穀物検定協会全国食味ランキング「特A」評価)ことから、熊本県産米のトップグレード米として位置づけられています。
そこで、本年度のこのコーナーでは、「くまさんの輝き」の栽培技術について生育時期別に説明していきます。
今回は、「くまさんの輝き」の栽培特性とそれを踏まえた栽培のポイントを説明します。

「くまさんの輝き」の栽培特性

「くまさんの輝き」は、以下のような栽培特性を持っています。

1.草型が「穂数型」であること

「偏穂重型」のヒノヒカリよりも分げつ力があり、穂数が多い。また、ヒノヒカリよりもやや短稈で倒伏に強い。

2.収量性が高いこと

ヒノヒカリよりも一穂籾数はやや少ないものの、穂数が多いため㎡当たり籾数はやや多く、玄米千粒重も大きいため、収量はヒノヒカリよりも多い。
このような栽培特性を踏まえ、収量と品質・食味を高いレベルで安定させるための栽培技術が求められます。
では、「くまさんの輝き」の具体的な栽培技術のポイントはどこにあるのでしょうか?昨年の展示ほの成績からそのヒントが見えてきました。

展示ほ成績から見えてきた、高位安定栽培のヒント

1.平成29年展示ほの成績

昨年の県下各地の「くまさんの輝き」展示ほ(19か所)は、10アール当たり収量が平均五四九キロ、等級は19ケ所中15ケ所で一等、玄米タンパク含量は平均6.3%(7%を超えると食味が低下するとされる)と、全体としては良好な成績でした。
詳細にみていくと、㎡当たり籾数が3万~3万2千粒前後で多収事例が多く見られました(図1)が、一方で、籾数が多い場合に登熟歩合(歩留り)と千粒重が低下し、玄米タンパク含量が上昇する傾向が見られ、3万粒を超えると登熟歩合70%以下、千粒重22.5g以下、玄米タンパク含量6.5%以上となる事例が多く見られました(図2、3、4)。

写真1 展示ほにて現地検討会

2.展示ほ成績から見えてきたこと

以上のことから、「くまさんの輝き」の収量を確保しつつ、玄米を充実させてタンパク含量を低く抑えるには、㎡当たり籾数を3万粒程度とすることが重要であることがわかりました。
また、籾数と穂数の間には相関があり、㎡当たり籾数3万粒程度となるのは㎡当たり穂数が400~450本の場合であることもわかりました。

写真2 出穂期を迎えた「くまさんの輝き」

2018年4月号
農業技術課 農業革新支援センター