水稲新品種「くまさんの輝き」の栽培技術(第3回)

~移植から初期管理のポイント~

はじめに

みなさん、「くまさんの輝き」の健苗は作れたでしょうか。健苗を作れたかどうかが、移植時の活着、その後の生育に大きく影響してきます。
では、ほ場準備は万全ですか?
今回は「くまさんの輝き」の移植から初期管理のポイントをお伝えします。

ほ場準備

1.堆肥

堆肥の施用量は1~2t/10aとし、未熟堆肥を施用しないでください。また、堆肥の塊をなくし、均一に施用しましょう。

2.基肥

基肥は窒素成分で4~5kg(基肥一発の場合は6~7kg)を基本に、地力や前作に応じて加減してください。
ただし、くまさんの輝きは「熊本県推奨うまい米基準」に基づいた栽培を行い、玄米のタンパク含有率が6.5%以下または7.0%以下の基準を満たす必要があります。窒素を施用しすぎるとタンパク含有率が増加し、食味低下に繋がるため、多肥になりすぎないよう留意しましょう。

3.代かき

代かき作業は、水深の浅い所と深い所ができないよう均平作業を丁寧に行うことで、移植後の水管理が楽になります。

移植

1.適期移植

第二回でお伝えした「健苗づくり」を基本とし、葉齢、苗丈が適当な大きさになったら(中苗の場合、葉齢3.0~4.0L、苗丈15~20cm)、速やかに移植しましょう。適期に移植すると、活着が良くなり、初期生育も順調に進みます。老化苗になればなるほど、活着不良や病害が出やすくなりますので、移植適期を逃さないようにしましょう。
移植時期は山麓準平坦地域の一般的な移植時期(普通期栽培でc6月中~下旬)に行いましょう。

2.栽植密度

くまさんの輝きは分げつ力がある品種ですが、だからといって、極端な疎植は避けてください。
栽植密度は16~18株/㎡(53~60株/坪)、植込み本数は3~5本/株が目安です。

3.植付深度

深植えすると活着・発根の妨げになったり、スクミリンゴガイの食害をうけやすくなったりするので、浅植えを心掛けましょう。(図1)
☆移植後に補植用の苗を水田の端に植えている方がいらっしゃると思います。苗が固まっているため風通りが悪く、病害の温床となりやすいため、補植が終わったら、残りはすぐに廃棄しましょう。

図1 植付深度と水深が活着・発根に及ぼす影響
移植後4日目の個体当たり発枝数

水管理

水管理の徹底は稲の健全な生育に大きく影響します。生育時期にあわせた水管理を行うことが収量・品質・食味の向上につながります。

1.移植直後

移植後はかきとりによる断根のため、稲体が弱っている状態です。やや深水にして蒸散を抑え、活着促進を行いましょう。
また、除草剤散布後は除草剤の処理層をしっかり作るためにも田面が露出しないようにし、3~5日の湛水が必要です。

2.活着後~分げつ期

根の生育は活着後から始まり、分げつとともに活発になり、幼穂形成期ごろに最大となります。この時期以降になると新根の発生は見られません。そのため、幼穂形浅水管理を行い、水温を上げることで発根を促進します。成期までに根張りを良くしておく必要があります。
しかし、湛水状態のままにしておくと、根は楽をして根をあまり伸ばしません。
また、透水性の悪いほ場では、湛水状態で有機物の分解が進むことにより土壌還元状態となり、根が還元障害(酸素不足による根痛み)を受け、活着不良による分げつ不足の原因になることがあります。葉が赤くなったり、穂の奇形が出てきたりすることもあります。(図2、3)
そのため、除草剤散布後の湛水期間が過ぎたら、溝切りをし、間断かん水(2日湛水、3日落水など)を行い、定期的な水の入れ替えをしましょう。
このように早くから水を切ることで、土壌が固まり、中干しもスムーズに行え、収穫の際、機械を入れるために早くから落水する必要もなくなります。

図2 「赤枯れ」症状
図3 奇形化した頴花と退化した頴(えい)花(はな)の痕跡

3.中干し

有効茎数が確保できたら、過剰分げつを防ぎ、根張りを良くするため、中干しを行います。
茎数が約400本/㎡(22~25本/株)が中干し開始の目安です。ただし、根を傷める恐れがあるため、過度な中干しは避けましょう。

おわりに

地上部の生育と地下部の生育がアンバランスでは、収量も品質も安定しません。特に、生育後半の登熟に影響してきます。水管理は稲体の様子を見ながら、ステージに合わせて行いましょう。
次回は病害虫防除のポイントをお伝えします。

2018年6月号
県南広域本部 球磨地域振興局 農業普及・振興課