水稲新品種「くまさんの輝き」の栽培技術(第4回)

~病害虫防除のポイント~

はじめに

普通期水稲において、7月以降は様々な病害虫の発生が見られます。新品種「くまさんの輝き」においても例外ではありません。「くまさんの輝き」は、原則として特別栽培(減農薬・減化学肥料)での生産となるため、適期に確実な防除を行うことがより重要です。
今回は、普通期水稲における一般的な病害虫の概要とその防除について見ていきましょう。

ウンカ類

稲に被害をもたらすウンカ類には、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカの3種があります。主に種類によって発生時期や被害が異なります。
特にトビイロウンカでは、発生が多い場合は稲が円状に枯死倒伏する「坪枯れ」が発生します。平成29年は県内各地で坪枯れが確認されました。また、ヒメトビウンカは吸汁の被害に加えて縞葉枯病ウィルスを媒介します。

防除のポイント

ウンカ類は発生前の箱施用剤使用と、若齢幼虫期での本田防除が基本となります。適期を逃すと防除効果はほとんどありませんが、適期に適切な防除を行えば剤型に関係なく効果が得られます。
飛来量の少ない年であってもトビイロウンカは9月以降に急激に密度が上昇する場合があるため、8月に発生が見えなくても安心はできません。ウンカの姿が見える前に防除を行いましょう。

図1 ウンカの種類(左からトビイロウンカ短翅型、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)

コブノメイガ

コブノメイガは6月に飛来し、7~9月に稲の上位葉を食害します。止め葉の被害葉率が30%になると10%減収するといわれています。

防除のポイント

コブノメイガは箱施用による防除が基本になりますが、飛来状況は年によって大きく変動します。
本田散布での防除適期は、粒剤では発蛾最盛期、液剤や粉剤ではその1週間後となりますが、飛来時期や発生量を把握し適期防除を行いましょう。(8月上旬頃に水田を歩いて1cmほどの蛾が多数飛び立つ頃が次世代成虫の発蛾最盛期になります。)

 

ウンカ類とコブノメイガの発生状況については熊本県病害虫防所除の情報を活用してください。
(熊本県病害虫防除所 http://www.jppn.ne.jp/kumamoto/

図2 コブノメイガの幼虫

葉いもち病

葉いもちは初めに稲の葉身に紡錘形の病斑が現われ、進展すると株全体が委縮するズリコミ症状が現われます。伝染力が強く、感染好適条件下では病斑の拡大が非常に早いのが特徴です。
「くまさんの輝き」のいもち病に対する抵抗性は「やや弱」となっており、注意が必要です。
また、窒素過多の栽培でも発生が多くなるので注意が必要です。

防除のポイント

葉いもちは箱薬剤での予防が一般的ですが、県内で感染好適条件日が出現した時は熊本県病害虫防除所から情報が発信されますので、これを参考にして、必要に応じて本田防除を行いましょう。
また、「アミスター」や「嵐」などのQoI剤に抵抗性のあるいもち病が出現した地域では、他系統の薬剤で本田防除を行ってください。

図3 葉いもち病の病斑

紋枯病

紋枯病は初めに葉鞘に紋状の病斑(図4)が現われ、重度の場合は稲が倒伏しやすくなったり、登熟が進まなくなるなどの被害が発生します。
紋枯病は前年度の被害株に形成された菌核が主な感染源で、初め水平方向に進展し、幼穂形成期以降は垂直方向に進展します。

防除のポイント

病斑が水平進展から垂直進展に移る直前に防除を行うと防除効果が高いため、水和剤・粉剤の場合、出穂の20~10日前(粒剤の場合10~20日前)を中心に防除を行いましょう。
また、代かき後に浮遊したゴミに菌核が混ざるため、多発したほ場では翌年の代かきの後にゴミをほ場外に搬出して菌核を取り除きましょう。

図4 紋枯病の病斑

もみ枯細菌病

もみ枯細菌病は、発生するともみの基部が灰色、もみ全体が淡紅色に変色し不稔となる症状を引き起こします。出穂期前後に高温多湿条件になると発生しやすくなります。

防除のポイント

主な感染源は罹病した種子であるため、種子更新を行った健全な種子を使用することが基本です。

おわりに

これからの季節は病害虫の発生が多くなります。防除の基本は被害の予防です。被害が発生してからあわてて防除するのではなく、適期防除により被害を未然に防ぐことを心掛けましょう。
今年度の病害虫の発生状況や防除方法については、最寄りの農業普及・振興課までお問い合わせください。

2018年7月号
県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課