温州みかんの樹勢回復と 隔年結果是正対策

~連年安定生産に向けて~

はじめに

10月に入り、極早生温州の収穫・出荷作業が本格的に始まり、生産者の皆さまは多忙な時期を迎えられていることと思います。収穫を進める中で、これまでの管理の成果が実感されるのではないでしょうか。永年性である果樹は、次年度を見据えた対策も必要となりますので、今年産の着果量など樹の状態に応じた栽培管理を行っていきましょう。

今年産の生育状況

今年の温州みかんの生育は、冬期(12月~2月)に気温が平年より高く推移し、乾燥・低温による落葉も少なく、樹勢の回復が順調に進みました。その影響もあり、30年産は着果量が多い表年でありましたが、今年産は普通温州ではやや少ないものの、極早生温州と早生温州は、平年並の着果量でした。
また、発芽日および満開日は平年並の生育で進み、生理落果は、1次落果が多く、2次落果は少ない状況でした。5月から6月中旬まで雨が少なく、梅雨入りは平年より遅かったものの、7月にまとまった降雨があり、果実肥大は平年並、果実品質は糖度が平年並~やや低い状況でスタートしました。

樹勢回復の必要性

収穫期を迎え、果実を生産するために蓄積された養分は収穫により収奪され、樹体内の栄養状態は低くなっています。また、近年は、高品質果実生産のために、フィガロン散布やシートマルチ栽培を行うことで、樹体への負担はさらに大きくなっています。連年安定生産のためには、収穫後早急に樹勢を回復させることが極めて重要となります。

樹勢回復対策

(1)かん水・葉面散布の実施

シートマルチ園では、水分ストレスがかかり、樹勢が低下した状態です。そのため、収穫後は直ちにシートを除去し、十分にかん水を行った後、秋肥を施用します。水を与えることが一番の樹勢回復につながりますので、施肥後も十分かん水を行い、肥効を高めましょう。
さらに、秋肥の施用とあわせて窒素を主体とした葉面散布を実施すると効果的です。(例えば、尿素500倍液等を3~7日おきに3回程度散布します。)

図1 乾燥したシートマルチ園

(2)秋肥の施用

○秋肥の目的
秋肥は、「お礼肥」として年内の果実生産で消費した養分を補給し、収穫後の成り疲れを回復させること、また「基肥」として、翌年度の着花と春枝の伸長に必要な養分の確保、耐寒性の強化などを目的に行います。このため、1年間の中で秋肥の施肥割合は高くなっています(表1)。秋肥を十分に効かせるためには施用時期が重要となりますので、収穫作業で忙しい時期と重なりますが、必ず適期に実施して下さい。

○秋肥の時期
地温が12℃を下回ると根からの吸収がほとんどなく、樹体内の養分吸収率が低下します。地温が12℃を下回るのはおよそ12月上旬頃のため、収穫後から11月上旬までに肥料を施用してください(図2)。
万が一、施用が遅れてしまった場合は、化成肥料などの速効性肥料を施用するとともにかん水を行い、早急に養分吸収を促します。

隔年結果是正対策

毎年安定した収量を確保するには、春季に新梢と花をほどよく発生させることが重要です。
今年産の普通温州は着果が少ないため、母枝が十分に確保されています。そのため、翌年(令和2年)産の着花過多を抑制し、新梢の発生を促すため、通常より早く、切り返し主体の強めのせん定を実施します。また、翌々年(令和3年)産の結果母枝を確保するため、予備枝を設定します。斜め上や横向きの枝に発生した夏秋梢は輪状芽(節)の直上でせん除し、春梢部分の先端部の葉を1~2葉残し、残りは全て摘葉します(図3)。さらに、ジベレリン(25~50ppm)を収穫直後から1カ月以内に着果枝や夏秋梢をせん除した枝を中心に散布すると着花抑制効果が高くなります。
なお、強勢な枝が発生しやすい直立した枝は基部からせん除し、再度強い枝が出ないようにしましょう。

最後に

これから収穫期に入り、忙しい日々が続きますが、連年安定生産に向け、計画的に作業を行いましょう。また、季節の変わり目には体調管理に十分気を付けて下さい。