温州みかんの樹勢回復対策

~安定生産を続けていくためには~

はじめに

10月に入り収穫・出荷作業が始まり、大変忙しい毎日が続いていると思います。同時に極早生温州を中心に次年度に向けた栽培管理が始まる月でもあります。樹勢回復を十分に行い、毎年安定した生産量を確保しましょう。

なぜ樹勢回復対策が必要なのか?

生育期間中の光合成同化養分は主に果実の肥大や充実に消費されるため、収穫により樹勢が低下します。今年は着花量が多かったため、樹勢の低下した園が多く見られており、特にシートマルチ栽培を実施した園や着果過多の園では、その傾向が顕著に表れています。そのため、次年度の着花を安定的に確保するためには、早急に樹勢を回復する必要があります。

樹勢回復のポイントは

樹勢回復を「確実に」・「速やか」に行うためにも次の4つの対策を行います。

1.適期収穫

適期に収穫を行うことで、樹体が養分を十分に吸収する期間を設け、根に貯蔵養分として蓄えることができます。
収穫遅れは早生温州以降の品種で特に影響が出やすく、貯蔵養分の不足による翌年の花芽減少を招きます。
また、毎年収穫遅れが生じるなら、品種構成に偏りがあることも考えられます。作業労力や栽培管理を見直し、必要に応じて改植や品種転換を計画的に行い、改善を図ります。

2.かん水の実施

シートマルチを被覆している園では、品質向上のため土壌を乾燥させ、樹体にストレスを与えているため、収穫直後は樹体の水分が不足し、十分に光合成を行えない状態です。
そのため、収穫後は速やかにマルチを除去し、降雨による水分補給を行う必要があります。降雨が無い場合はかん水を行いましょう。

マルチ実施園
マルチ未実施園

3.秋肥(礼肥)の施用

秋肥は収穫後の樹勢低下を回復させるだけでなく、次年度の花芽の充実や春枝伸長などに利用されます。表1でも秋肥は年間施用割合で40~60%を占める重要なものです。
図1にあるように、その年の収量と根のデンプン含量は負の相関関係が高く、収量が多いほどデンプン含量は少なくなります。また、図2から、根のデンプン量が少ないと翌年の着花量が少なくなることが判明しています。そのため、収量が多かった園では収穫後の樹体内養分をすみやかに回復させることで、翌年の着果安定を図ります。
では、いつ、どのくらいの量を施用したらいいのでしょうか。
温州ミカンの根は地温が12℃以下になると根の活動が弱まり、養分の吸収力が低下します。そのため、11月上旬までには施肥を行い、年内にしっかり吸収させ、樹勢回復に努めましょう。施用後降雨がない場合はかん水を実施し、養分を吸収させるように促します。施肥量については各地域の栽培暦又は表2を参考にしてください。

表1 施肥時期と施肥割合(%)
(平成30年産果樹対策指針より抜粋)
表2 予想収量十年間窒素施用量(N施肥量kg/10a)
(平成30年産果樹対策指針より抜粋)
図1 収量と10月下旬の根中デンプン含有率との関係
(肥のあけぼの2004〜2006)(上村2008)
図2 10月下旬の根中デンプン含有率と翌年の葉花比
(肥のあけぼの2004〜2006)(上村2008)

4.窒素主体の葉面散布の実施

秋肥の施用が遅れた園や着果 量が、多く樹勢が衰弱した園では特に効果がある方法です。散布効果を高めるため、3~5日おきに3回以上散布しましょう。散布日はできるだけ暖かい日を選び、樹体全体にたっぷりと散布します。

さいごに

この時期は収穫作業に追われ、一年で最も忙しくなります。体調管理に十分注意しながら、次年度の生産安定のために、樹勢をしっかり回復させる栽培管理を行ってください。

2018年10月号
県北広域本部 鹿本地域振興局 農業普及・振興局