湿地性カラーの夏期管理のポイント

~高温期に株を弱らせないことが秋からの収穫に繋がります~

はじめに

カラーはサトイモ科に属する球根植物で、水分の豊富な場所を好む湿地種と乾いた土地を好む畑地種があります。本県では、豊かな水資源を活かして熊本市や八代市を中心に湿地性カラーの栽培が多く、生産量全国第2位となっています。八代地域は栽培面積3.4haで、県育成品種の「ホワイトトーチ」「ホワイトスワン」やグリーンカラー等が栽培されています。
湿地性カラーは、比較的冷涼な気候を好むため(品種毎に適正温域は異なる(図1))、ほ場に周年18℃前後の地下水をかけ流して栽培します。特に、夏期は、日差しが強く、気温が高い時期でカラーにとって生育不適環境のため、株のダメージを最低限に抑えることが重要です。

図1 品種ごとの生育適温

栽培のポイント

1.湧水の活用

湧水を常時かけ流すことでカラーの生育適温(17℃~22℃)に近い温度を保つことができます。
特に、水温が25℃以上になると、株が弱り軟腐病の発生を助長するため、注意が必要です。新植床では、地上部(新芽)を水没させないよう水の深さを調整します。

2.寒冷紗被覆

高温期の強い日差しは、葉焼け・葉の老化・軟腐病の原因となるため、寒冷紗で遮光を行います。また、遮光を行うことで水温と地温を生育適温に近い温度を保つことができます。定植年は遮光率80%程度、2年目以降は5月上旬頃(平坦部)から遮光率50~60%程度の寒冷紗で被覆します。

3.中干しはしない

中干しをすると地割れにより根が切れ、株が弱り軟腐病が発生しやすくなるので中干しはしません。
また、鋤床があり耕土層が浅いほ場では絶対に行わないでください。地中を適度な温度・湿度に保ち、収穫に向けた株づくりを行います。

写真1 寒冷紗被覆後のハウス外観

4.ジャンボタニシ対策

夜行性で、水面に近い展開前の新芽を好んで食べるため新芽が食害されると欠株や株の生育遅延を誘発してしまいます。定植年の株は、株の草丈が低く分げつ数も少ないため、食害のダメージが大きくなります。また、夏場に株が弱り、草丈が低くなったほ場も危険です。防除対策については特効薬はなく、次の対策それぞれを取り組む必要があります

 

①耕種的防除…浅水管理を行い、移動を制限します。また、好物で誘引し取り除きます(メロン・レタス・スイカ・ナス等を好む)。

 

②物理的防除…定植予定地では、石灰窒素等の土壌消毒、低温期にトラクターで耕運を行います。

 

③化学的防除…現在、カラーで登録されている農薬はありません。

 

④天敵による防除…コイ、クサガメやアイガモは捕食割合が高いとのことです。

写真3 ジャンボタニシ食害

5.軟腐病対策

軟腐病細菌の適温は35℃で高温期に葉柄の地際部に発生することが多く、葉や球根にも発生し、患部から腐敗臭がするのが特徴です。根の発生が少ない株や古い株での発生が多く、発生が激しいと球根や株は腐れて消失します。滞水などにより水温が上昇することで多発するため、寒冷紗被覆・湧水の掛け流しを徹底します。

写真4 軟腐病発症株

6.害虫対策

ヨトウムシ、スズメガ、ダニ、スリップスる時なども活動が活発にな期であるため、注意が必要です。花き類で登録のある農薬をローテーション散布し、防除に努めます。

写真5 ヨトウムシ食害

7.台風対策

①ビニル及び寒冷紗は除去し、サイドに防風ネットを設置します(台風直撃時は設置しない)。
②株が倒伏した場合は、台風通過後に株は40cm程度の高さで切戻し、スターナー等の軟腐病防除薬剤を散布します。切戻しで葉の中にある新芽を切らなければ、新しい葉の展開が早く、株は早期回復します。

8.花摘み

出荷期以外に花を咲かせると樹勢が弱るとともにスリップスが寄生しますので、早めに花摘み(花のみを取る)を行います。

最後に

カラー栽培において間違った管理を続けてしまうと、減収のスパイラルに陥り、回復するまでには多くの時間を要します(図2)。それぞれの季節において、ポイントを押さえた管理をすることがとても重要です。産地の環境に合わせて、適正な管理を行い、充実した株づくりを行いましょう。

図2 カラーの栽培減収メカニズム

2018年5月号
県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課