省力的な作目、畑地性カラーの安定生産に向けた 取組み

~阿蘇地域の特性を生かした栽培体系~

はじめに

畑地性カラーは、花色が黄、白、ピンク、橙、赤、紫など豊富で、アレンジメントに多用されていており需要が増えています。
夏期冷涼で乾いた畑地を好んで生育する特性を活かし、阿蘇地域では、施設と露地で、5月下旬から11月中旬まで出荷しています。
畑地性カラーは、定植と収穫時期以外には労力があまりかからないこと、近年の品種は1株当たり平均5~7本採花できること、夏から秋に出荷できることなどから、集落営農組織でも栽培され栽培面積が増加傾向にあります(写真1)。
しかし、球根が消耗しやすく高価なため、毎年更新することは困難です。そのため、株全体に被害を及ぼす軟腐病の防除が課題となっています。
今回は、阿蘇地域での取組み事例を紹介します。

写真1 集落営農組織による露地栽培

栽培管理

球根の消耗を抑えるため、奇数年(定植1年目)に収穫、偶数年目に球根養成の2年周期の栽培管理を行っています。

(1)ほ場の選定

軟腐病の予防を兼ねて排水がよいほ場を選び、水はけのよい畝を作ります。ほ場の排水が悪い場合は、排水対策を行います(排水路の設置、ほ場内に傾斜をつくる、高畝、畝を途中で切るなど)。

(2)球根の準備

軟腐病対策として、定植前日の球根にスターナ水和剤(30倍)を吹き付け処理後、日陰の涼しい場所で風乾させます。

(3)定植

畝幅60cm、畝高20cmの畝に、白色ビニールやワラでマルチを行います(雑草、乾燥、夏季の高温対策)。
栽植密度は、条間30cm、株間30cmの2条千鳥で、10~20cmの深さに植え付けます。また定植直前にジベレリン50ppm液に3~5秒浸漬することにより、開花率が高くなります。

(4)施肥

緩効性肥料を中心にNPK成分で各10kg/10aを目安に+重焼リン+珪酸カリを施用します。

(5)かん水

定植直後から十分にかん水し、出蕾後は控えめとします。

(6)収穫

収穫作業は、朝夕の涼しいうちに行います。日中の熱い時間帯に収穫を行うと、品質が低下します。

(7)球根養成

葉でつくられた養分を球根に蓄えるため、収穫後から株が霜に当たり枯れるまでの期間放置します。
球根養成する年を設ける場合は、採花は行わず、花が上がってきたら苞の下から摘み取ります。

(8)球根貯蔵

10月以降に養成した球根を掘り上げ、土や根を取り除きます。取り除いた後に、軟腐病やカビ対策の農薬を散布し、1か月程度パイプハウス内などで充分に乾燥させてから5℃程度で貯蔵します(写真2)。
※球根貯蔵期間中は、カビや球根腐れ対策として除湿が必要です。
阿蘇地域で貯蔵庫(冷蔵庫)がない生産者は、ほ場に据え置きし、2月中旬~3月中旬にかけて球根を掘り上げる事例もあります。

写真2 消毒後球根乾燥

作型

夏出荷(表1)

夏出荷は、季咲きになり、暖かくなるにつれて出蕾が多くなります。毎年掘り上げた球根を植え付けても収穫が行えますが、球根が消耗してしまうので、3年に1度は球根養成年を設けています。

秋出荷(表2)

定植後の気温が高くなるので、 施設栽培では換気を図り、40%の寒冷紗を定植から40日程度の被覆を行っています(軟腐病対策にもつながります)。
※夏場に定植を行うため、それまで球根を保存する場所が必要になります。

その他に重点指導を行っている病害虫の防除対策

ハダニ類

葉にカスリ状の小斑点が現れ、ひどくなるとは全体の葉緑素がなくなり白っぽくなります。やがて株全体が縮葉して黄化します。
・対策:ほ場周辺の雑草・残渣の片づけや、早期発見・早期防除を行います。

アザミウマ類

花苞内側に入り、花冠に褐色の小斑点を生じます。小斑点が生じると販売価値が下がります。
・対策:開花直前まで定期的に農薬散布を行います。

おわりに

畑地性カラーは需要も多く、阿蘇地域の気候に合った作目として、今後も生産の拡大及び安定生産に取り組んでいきたいと思います。