花きの生産安定(ヨトウムシ類防除のポイント)

~相手の生態を知って効率的に防除しよう~

はじめに

昨年(平成30年)は、夏~秋にかけて気温が高く、雨も少なかった事からヨトウムシ類(ヨトウガ・ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウ)の食害が多発しました。
ヨトウムシ類の食害が増えるのは8~10月ですが、これから暖かくなる春もハウス内や土中で越冬した蛹や幼虫が活発に動きはじめる時期です。
そのため、ヨトウムシ類の特性を知って、早めの防除対策に取り組みましょう。

ヨトウムシ類の生態

ヨトウムシ類は夜間に成虫()が飛来し、数十~数百の塊からなる卵(卵塊)を葉裏等に産み付けます。
ふ化した若齢幼虫は集団で葉裏から食害し、中~老齢幼虫になると日中は株元や生長点付近に潜み、夜間に出てきて葉や蕾を食害します。

発生時期

ヨトウガは土中で越冬した蛹が羽化し、5~6月頃に第一世代の幼虫が発生します。その後、9~11月頃に第二世代の幼虫が発生します。
ハスモンヨトウやシロイチモジヨトウは、土中やハウス内で越冬した蛹や幼虫が5月頃から活動しはじめ、約一ヶ月程度で世代交代しながら、年四~六回発生します(表1)。
食害は5月頃から発生し、9~10月頃がピークとなり、気温の低下とともに徐々に被害は減りますが、施設栽培では防除ができてないと1月以降も食害が続くので注意が必要です。

防除対策の基本

害虫対策の基本は①虫の侵入・産卵を防止する②早期発見・早期防除です。

虫ネット等で侵入防止

露地では寒冷紗等でのトンネル・べた掛け、施設ではハウスサイドや出入り口等の開口部に防虫ネット等を張り、成虫の侵入を防ぎます。
ヨトウムシ類の成虫は体長12~20mm程度なので、4mm目合のネットで侵入防止効果があります。
防虫ネット上に産卵した卵から幼虫が孵化し、ハウス内に侵入することがあるので時々ネットを目視して卵塊があったらつぶしてください。

防蛾灯等の活用

黄色光など特定の波長の光を終夜点灯することで、成虫の産卵行動を抑制することができます。
これはオオタバコガ等の他の夜蛾類にも効果がありますが、植物によっては花芽分化が遅れる等、生育に影響がでる場合もあるので、導入の際には注意が必要です。
最近は虫の捕獲器付きのものや、電気代が安いLED、植物への影響が少ない緑色光のもの等様々なタイプがでています。

フェロモン剤の利用

フェロモンディスペンサーをハウス内外に設置することで、成虫の交尾・産卵を抑制します。
ヨトウガ・ハスモンヨトウとシロイチモジヨトウの二種類発売されており、対象害虫の発生前からの設置が必要です。効果を上げるためにはまとまった面積(50a以上)で取り組む必要があり、立地条件も関係するので、設置前に十分検討が必要です。
また、フェロモンディスペンサーの利用は防虫ネット(寒冷紗等)と組み合わせることでより防除効果が高まります(表2)。

早期発見・早期防除

中・老齢幼虫は薬剤耐性が高く、卵や蛹は薬剤が効かないため、若齢幼虫のうちに防除することが基本です。
食害跡や成虫の飛来が確認されたら防除開始時期です。
卵塊や幼虫は見つけ次第捕殺し、薬剤散布を開始するとともに、ハウス内や周辺を除草し、虫の隠れ場所をなくします。

薬剤による防除

薬剤散布の基本はローテーション散布です。商品名が違っても成分が同一のもの、作用機構が同じものもあるので注意してください(表3)。
一般にIGR剤やBT剤は若齢幼虫に効果が高く残効性もありますが、老齢幼虫には効果が劣ります。また効果発現がやや遅いため、中・老齢幼虫がいる場合は、まず食害被害を抑えるため即効性の薬剤で防除後、IGR剤を使用するなど、適切な薬剤を選択してください。
9月以降の多発時期は若齢~老齢幼虫が混在するので、薬剤の特性を踏まえ、使用基準を守って散布しましょう。

2019年2月号
県央広域本部 農林部 農業普及・振興課