落葉果樹の結実確保と晩霜害防止対策

〜安定生産には、まず着果の確保から〜

はじめに

3月を迎えナシやモモ等の落葉果樹では開花期が近づいてきました。この時期の管理は着果に大きく影響します。果実の生産においては、まず着果を確保することが最も重要ですので、しっかりと対策を行いましょう。

結実確保のための人工受粉の実施

ナシやスモモ等では、果実を結実させるために交配親和性のある品種の花粉を受粉させる必要があります。
ミツバチ等の訪花性昆虫による受粉は労力がかかりませんが、開花期に曇天や低温が続くと昆虫の活動が鈍くなり十分な受粉ができず、着果不足になる恐れがあります。
天候不順の時でも安定して結実を確保するために、人工受粉を実施しましょう。

ナシ

【受粉の方法】
ナシの受粉の適期は5~6分咲きから満開(8分咲き)の頃です。満開を過ぎ花弁が散り始めると結実が悪くなりますので遅れないよう実施しましょう。受粉に粗花粉を使う場合は、粗花粉と赤く着色した石松子を1:1の割合で混ぜ梵天を用いて受粉します。全てのめしべに花粉を付けるよう丁寧に受粉しましょう。

【花粉の確保】
ナシは自家不和合性であるため、交配親和性のある品種の花粉を用意する必要があります(表2)。花粉は購入することもできますが、自分で花粉を採取する場合は、図1のように開花直前の蕾を採取し、採葯器等で葯を取り出してから開葯します。開葯した花粉は粗花粉と呼ばれ、この状態で受粉に使用できます。また、容器に密封して冷蔵庫に入れておけば1週間程度は受粉可能です。
なお、採取した粗花粉は、容器に粗花粉と乾燥剤(シリカゲル等)を入れて密封し、-20℃で貯蔵すれば翌年も使用できます。ただし、貯蔵した花粉を使用する場合は発芽率の確認を行いましょう。調査は、各産地の農協や農業普及・振興課にご相談ください。

図1 花粉採取の方法(果樹研究所)
表1 ナシの交配親和性(対策指針より)

モモ・スモモ

モモ・スモモでは満開期前後に数回、毛ばたきを用いて受粉を行います。
モモは基本的に自家和合性なので、花粉のある品種は花をなでるだけで受粉できます。花粉のない品種(川中島白桃等)は花粉のある品種と交互になでて受粉しましょう。
スモモはナシ同様、自家不和合性なので交配親和性のある品種の花を毛ばたきで交互になでて受粉します(表3)。
モモ・スモモとも暖かい日に、着果させたい部分(短果枝では先端部、中長果枝では中間部の横向きか下向きの花)を中心に受粉しましょう。

表2 スモモの交配親和性(対策指針より)

晩霜害防止対策

開花直前から幼果期までは、低温に非常に弱く晩霜害を受けやすい時期です。近年、開花前の気温上昇により開花が早まっていることから、晩霜害の危険度は高まっています。気象情報には十分注意し、各園地にあわせた対策を実施してください。
被害を防ぐため、事前に園地や施設の点検整備を行いましょう(表3)。
最低気温が氷点下に下がりそうな日は、防霜対策が必要です。表3を参考にスプリンクラーによる散水凍結法や送風法(防霜ファン)、燃焼法といった防霜対策を行いましょう。
被害を受けた花は、時間が経つとめしべが褐変し(写真1)、花をがく片部分で切ると胚珠部分が褐変し落花(果)します(写真2)。晩霜遭遇後に花(幼果)の被害状況を確認し、被害がみられた場合は着果を確保するためにめしべが健全な花を狙って再度人工受粉を行いましょう。

表3 防霜対策
写真1 霜害を受けたナシの花
写真2 霜害を受けたナシの花の子房切断面

2018年3月号
県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課