落葉果樹(ナシ)の整枝・せん定

~高品質果実連年安定生産に向けて~

整枝・せん定は、品質の良い果実を安定的に生産するための重要な作業です。せん定の目的は①樹勢の調節、②樹全体の受光体制を整え、枝葉や花芽形成の充実、果実品質の向上、③管理作業の効率化などです。来年産に向け、計画的に作業を進めていきましょう。

作業を始める前に

整枝・せん定を始める前に園全体や樹の状態を良く観察し、密植になっていないか、樹勢はどうか、花芽のつき具合はどうか確認しておきましょう。特に密植状態の判断は、落葉する前に行い、隣り合う樹の枝同士が重なリ、日当たりが悪い場合は、縮・間伐を実施しましょう。

1.整枝

整枝は、骨格枝(主枝・亜主枝)を決めて樹形を整えていく作業です。骨格枝が不明確な状態では、側枝をどう配置するか悩んでしまい効率的に作業を進めることができません。そのため、若木期の整枝は、特に重要となります。
3本主枝の基本樹形は図1の通りです。枝の太さは側枝より亜主枝、亜主枝より主枝が太くなるようにします。樹形を乱すような徒長枝や棚下の強い枝は早めに除去しましょう。
樹の骨格枝がうまくできれば、側枝の配置が容易になります。

図1 3本主枝の基本樹相と側枝の配置

2.せん定(側枝の配置と更新)

側枝(果実をならせる枝)は、1本1本に十分な光が当たるよう、枝を配置する必要があります。側枝の配置間隔は、品種や樹勢に応じて決定します(表1)。
ナシの花芽が着生する枝は、一年生の長果枝と2年目以降の短果枝があります。基本的には短果枝を利用しますが、側枝に充実した花芽が少なくなると更新する必要があります。品種によって短果枝を維持できる年数が違いますので、それぞれの品種に応じて側枝の更新を行います(表1)。

表1 ナシの品種特性と側枝の利用方法

【長果枝主体品種】
「幸水」や「あきづき」は、短果枝が維持しにくいため、花芽(腋花芽)が着生した長果枝を積極的に利用します。側枝上の短果枝は、2~3年利用できますが、それ以降は花芽が少なくなる可能性が高いため、*予備枝を設定(後述)し、計画的に側枝を更新する準備をします。また、花芽の着生を促すため、せん定時に斜めに誘引したり、花芽が着生していない長果枝を棚付するなど花芽の確保に努めましょう(図2)。

【短果枝主体品種】
短果枝が着生しやすい品種は、図3のように、予備枝から出た長果枝を棚面に対して斜め誘引し、短果枝を準備します。側枝の利用年数は、「豊水」、「秋麗」では、3~4年。「新高」、「新興」では、5年が目安です(表1)。そのため、年数の異なる側枝をバランスよく配置します。6年以上の側枝の果実は小玉傾向となるため、計画的に更新しましょう。なお、長年利用し、太くなった側枝を更新する場合は1回で切り落とさず、くさびを入れて切り口を小さくし、側枝の先端を骨格枝付近まで段階的に切り戻し、数年かけて切るようにしましょう(写真1)。

*予備枝の設定
予備枝は、次年度以降に果実を成らせるために準備する枝(1年生枝)です。骨格枝から出た1年生枝を約20cmの長さに切り返し、新梢の発生を促します(写真2)。予備枝から発生した枝は、1年生枝をそのまま利用するより花芽の充実が良く、耐寒性が高く、棚付(誘引)作業がスムーズに出来ます。基本的に、全ての品種で予備枝由来の枝を側枝として利用してください。
特に、「幸水」、「あきづき」(短果枝が維持しにくい)や「秋麗」(樹勢が弱い)では側枝と予備枝の割合が1:1になるように設定しましょう。

図2 長果枝主体品種の側枝育成方法
図3 短果枝主体品種の側枝育成方法
写真1 くさび(側枝の50%位切り込みを入れる)
写真2 予備枝(主枝・亜主枝の横〜下から発生した枝を利用)

2018年11月号
県南広域本部 農林水産部 農業普及・振興課