8月出荷ホオズキの品質向上と 安定生産に向けた取組み

~系統選抜と実生による優良苗の確保~

はじめに

県内のホオズキの栽培は、鹿本地域を中心に栽培が行なわれています。主な出荷時期は7月ですが、上益城地域の山都町では、準高冷地の冷涼な気候を活かして、高単価が見込まれる8月に出荷しています。高温期に出荷する作型は、管理が難しいため、全国的にも産地が限られています。
これまで上益城地域のホオズキ栽培では、前作の地下茎を利用した増殖方法が採られていました。
しかし、長期間地下茎を利用し続けると苗からの土壌病害やウイルス等の持ち込みや、株の変異劣化等につながります。
今回は、優良苗の確保のために上益城地域で取り組んでいる、実生栽培によるホオズキの苗づくりを紹介します。

実生栽培のメリット

実生栽培は、優良系統を選抜・採種を行うことで、均質な優良苗を育成することができ、品質の均一化が図られます。また、苗による土壌病害(白絹病、半身萎凋病)やネコブセンチュウなどの新植ほ場への持ち込みや、株の弱りを防ぐことができ、安定生産につながります。

具体的な取り組み内容

(1)系統選抜

7月中旬頃の出荷前の現地検討会で、栽培中のホオズキの中から病害虫に強く、優れた形質(草丈、草姿、着果・花、宿存がくの大きさ・形・着色、早晩生等)を備えた系統の株を選抜します(写真1)。特に8月出荷は、着色が課題で、着色の良好な株の選抜が重要です(系統選抜では、地域の環境に適した系統を確保することができます)。

写真1 優良株を選定するため、株元に目印(テープ)を設置

(2)採種

8月の出荷後に(1)で選抜した株から、完熟した果実を採取し、茶こし等を用いて果実を潰し、水洗により果肉をできるだけ除去します。果肉を除去した種子は、日陰で風通しの良い所で乾燥させます。種子は、果実1個から約100~150粒程度採取できます。

(3)乾熱処理

乾熱処理は、種子からの新ほ場へのウイルス(TMGMV)や病原菌の持ち込みを防ぎます。(2)において乾燥させた種子を紙封筒等に入れ、70℃で3日間の熱処理を行います。乾熱処理後、播種まで時間を要する場合は冷蔵庫で保管します。

(4)催芽処理

ホオズキの種子は、そのままでは発芽率が低いため、催芽を促進するため、種子をお茶パック等に入れ、100ppmのジベレリン溶液に24時間浸漬します(写真2)。

写真2 ジベレリンに浸漬している様子

(5)播種

◇播種時期
8月中旬~下旬が適期です。播種時期が遅れると、親株定植も遅れ、低温により生育が抑制されます。
◇播種
セルトレイ(200穴程度)にMKK野菜用1号を入れ、1穴に2粒程、種子が見えない程度に浅く覆土します(ホオズキは暗発芽種子です)。
◇播種後管理
播種後は十分に灌(かん)水し、セルトレイは、寒冷紗(遮光率70~80%)が被覆してあるハウス内に置き、新聞紙を被せ、乾燥しないように1日1回、新聞紙の上から灌(かん)水します。7~10日で発芽します(写真3)。発芽したら、新聞紙を除去し、朝日が当たるように寒冷紗をずらし慣らします。

写真3 発芽後の苗(セルトレイ)

(6)親株床移植・その後の管理

親株床は、霜が当たらないように雨よけハウス、またはトンネルを利用(写真4)しますが、標高の高い地域では保温力のあるハウスを準備します。

 

◇親株床の準備
・土壌消毒を行います。
・基肥(成分量で1a当たり、N:0.5kg、P:1kg、K:0.4kg)
・畝づくり(畝幅60cm、株間10cm×条間10cm、6条植え)
◇親株床移植
親株床移植は、播種後30~35日前後で本葉が2~3枚程度になったら行います。
◇移植後の管理
移植直後は、1週間程度は50%程度の遮光を行います。灌(かん)水は、土の表面が乾かない程度に1日1回程度、様子を見ながら行います。追肥は、地下茎の充実を図るため、生育を見ながら、液肥を1週間に1回程度施用します。夜温が下がってきたら(15℃以下)保温して生育を進め、1月中旬まで株づくりを行います。1月下旬以降はハウス側面を開放し、低温に当て地上部を枯らし、地下茎の充実を図ります。

写真4 トンネルによる防霜対策例

(7)本ぽへの定植

2月中旬頃に苗を掘り上げ、苗(挿し穂)は、親株の根を2芽分の長さ(約4cm)で調整(写真5)をします。苗は、調整後消毒し、本ぽへ定植(縦植え:図1)します。親株が大きく育てば、10本以上の苗が確保できます。

写真5 苗(挿し穂)の調整
図1 本ぽの畝づくりと縦植えの概略

今後の取り組み

ホオズキは安定した単価および低コストで栽培ができる品目です。今後は、天敵の導入とともに、その防除技術を確立し、労力軽減とさらなる生産安定に向けて取り組んでいきます。