「日射条件により自動展張する単棟ハウス遮光システムの開発」
農業研究センターアグリシステム総合研究所生産情報システム研究室
研究のねらい
近年の温暖化により、夏季の高温による施設園芸作物の収量・品質の低下や作業者の労働負荷・熱中症リスクの増大など様々な問題が生じています。ハウス内環境の改善には遮光資材の展張が有効ですが、内張りカーテンの施工が困難な単棟ハウスでは外張りとする必要があります。遮光資材の常時展張は、天候不良時の日射不足が懸念されることから、設置が容易で外張りした遮光資材を日射条件に応じて展張できるシステムを開発しました。
研究の成果
1.遮光資材の中央縦方向にテープ・ハトメ加工することで、遮光資材をハウスバンドで被覆フィルムが張られた単棟ハウスに容易に外張りで固定できます。遮光資材の両端に直管パイプを固定し、バイプ端部に接続した巻上げ機で展張・巻上げを行います(図1、図2)。
2.N社製日射比例潅水装置(要改良)との連携により、任意の日射値(W/㎡)にて、複数の単棟ハウスの遮光資材の展張を自動制御できます。また、切替盤を介したマニュアル操作による任意の展張・巻上げが可能です(図1)。
3.手回し展張~モーター展張~自動制御と必要性や予算に応じて機能を選択することができます。間口6m×長さ50mの単棟ハウス4棟(計12a)に設置する場合の主要部材費は約45万円~100万円となり、制御盤の設置・電気工事以外は自家施工が可能です(図3)。
成果活用面・留意点
1.高温期に単棟ハウスにて雨よけ栽培される多様な品目に適応が可能です。
2.長さ50mを超えるハウスへの設置は、巻上げムラを生じ易くなるので推奨しません。
3.具体的な施工や運用については別途公表(2022年6月)の施工マニュアルを参照してください。
4.遮光の基準となる日射値や遮光資材の遮光率については、地域の気象条件や栽培作物の光要求量、生育・収量・品質の状況を熟考したうえで設定します。
No.990(令和4年(2022 年)6月)分類コード 06-04
990_日射条件により自動展張する単棟ハウス遮光システムの開発
990‗単棟ハウス遮光システム施工マニュアル