イタリアンライグラスの栽培管理のポイント~適切な栽培管理で収量アップ!~

はじめに

畜産経営において、自給飼料(牧草)の活用は非常に重要な事項です。食料自給率向上につながるだけでなく、輸入牧草より安価であるため、飼料費の低減にもつながり、家畜ふん尿由来の堆肥を使用することで、循環型の畜産経営が実現できます。
今回は、本県の酪農・肉用牛畜産経営でよく利用されているイタリアンライグラスの栽培管理について触れていきます。

イタリアンライグラスの特性

イタリアンライグラスは、発芽や初期生育が早く,短期間に収量が得られ,嗜好性の良い飼料作物です。イタリアンライグラスは秋には種し、翌年の春に収穫できる寒地型牧草です。極早生・早生・中生・晩生・極晩生と、品種によって早晩性があります。
晩生になるほど単位面積当たりの収量は増えますが、収穫作業の分散や、イタリアンライグラスの使用用途(乾草又はサイレージなのか)及び作付体系によって、品種を考慮する必要があります。また、耐倒伏性も品種によって異なります。良質なイタリアンライグラスを確保するために、耐倒伏性の強い立ち型品種の利用をお勧めします。
各種子メーカーにおいて複数の品種があります。品種検討をする際は、表1の品種比較展示ほで実際に品種を確認することができますので、ぜひご活用ください。

※展示ほ見学希望の際は、各連絡先に事前に連絡をお願いします。

栽培管理について

イタリアンライグラスの栽培基準は表2、栽培例は図1のとおりです。
過剰な施肥は、硝酸態窒素濃度上昇につながるので、適度な施肥量で栽培しましょう。土壌の性質によって必要な施肥量が異なることがあるので、土壌診断実施後に施肥量を検討することをお勧めします。

また、は種する時期によって収量に差が出てきます。(図2、写真1~3参照)イタリアンライグラスは平均気温5℃以上で生育が可能になります。そのため、は種が遅れた場合は発芽後の初期成育期間が冬の気温が低い期間となるため、成長が抑制されます。さらに、イタリアンライグラス等のイネ科牧草は、萌芽期からの日照時間と積算気温によって出穂するため、は種を遅らせたからといって、出穂を遅らせることはできません。1番草が出穂する時期は早晩性によって異なりますが、3月下旬~5月上旬です。は種から収穫期(出穂期)までの成育期間をしっかり確保しましょう。
しかし、早く(9月上中旬以前)には種しても、いもち病が発生しやすいことと雑草の成育に負けることがあるので、必ず適期には種をしてください。なお、いもち病が心配な場合は、いもち病抵抗性品種の利用を検討してください。
は種後は、鎮圧作業を行ってください。鎮圧されていないと根の活着及び発芽不良になる可能性があり、さらに刈取・収穫時に土が混入しやすくなります。
また、は種後はイタリアンライグラスの成長を確認して、生育が悪い場合は追肥を検討してください。

写真1:10月中旬は種(適期は種) ・ 写真2:12月中旬は種 ・ 写真3:3月中旬は種

熊本県では、現在販売中もしくは数年以内に市販される飼料作物の新品種の試験栽培等を行い、本県における適応性を確認し、高い収量性が期待できる品種を「熊本県牧草・飼料作物奨励品種」に選定しています。毎年品種一覧の改訂を行っており、県庁ホームページにて公表しています。
イタリアンライグラスはもちろん、他の牧草・飼料作物も記載していますので、品種選定の際にご活用ください。

https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/77/82052.html

県南広域本部 芦北地方振興局 農業普及・振興課

添付PDF:イタリアンライグラスの栽培管理のポイント