大豆ほ場の雑草防除技術

~大豆ほ場への帰化雑草の侵入を防ごう!~

大豆ほ場の敵・外来雑草

近年、アサガオ類やホウズキ類等の帰化雑草が大豆ほ場で繁茂し、問題になっています。他県では収量が半減するほどの被害が出ているところもあります。そこで今回は、帰化アサガオ類を中心に、大豆ほ場の外来雑草の防除のポイントついて紹介します。

帰化アサガオとは?

帰化アサガオとは、花の直径が1~3センチ程度の外来のアサガオのことです。帰化アサガオは、種子が混ざった輸入飼料を食べた家畜の堆肥を畑にまくことでほ場に広がっていきます。熊本県では、13年前にはすでに玉名市・合志市・益城町・嘉島町・御船町・上天草市・天草市の畑等で侵入が確認されており、現在は熊本県下全域に分布が広がっています。帰化アサガオには種類がいくつかありますが、代表的な種として4種(写真1~4)を写真に示します。

写真1 マルバルコウ
写真2 マメアサガオ
写真3 ホシアサガオ
写真4 アメリカアサガオ

帰化アサガオによる大豆被害

帰化アサガオは、つる性で大豆の茎・葉に巻きつき、生育を妨げます。繁茂したときには、減収し、品質も低下します(写真5)

写真5 被害ほ場

帰化アサガオの防除方法

帰化アサガオは防除が困難とされており、その主な理由は、(1)種子数が多いこと。(2)種子の寿命が長いこと(水田にして5年以上でも発芽)(3)発生期間が長いこと(後述)、(4)土壌処理剤・生育期茎葉処理剤の効果が低いこと、(5)中耕しても残ったつるから再生すること などにあります。そのため、防除効果を向上させるには、様々な方法を組み合わせることが必要です。なお、現時点で、熊本県における大豆ほ場内での被害報告は多くありませんが、今後の侵入・拡大を防ぐためには、「帰化アサガオをほ場に侵入させないこと」が最も大切ですので、今回はそこに重点をおいて防除方法を説明します。

防除方法1 種子の移動を防ぐ

帰化アサガオは種子の状態で運ばれ、広がってきました。これ以上種を移動させないために、次のことに気を付けましょう。
1.堆肥は完熟のものを使う
発酵温度60度以上で種子は死滅し、新たな侵入を防げます。
2.作業は発生がないほ場から
種は作業機械に泥とともに付着して移動しますので帰化アサガオの発生があるほ場の作業は最後に回しましょう。
3.ほ場周辺に気を配ること
畔(あぜ)などのほ場周辺が、たいていの場合は種子の供給源です。

防除方法2 ほ場への侵入を防ぐ

帰化アサガオのほ場への侵入を防ぐポイントは、「開花・結実前に防除すること」です。畦畔等の帰化アサガオは4月~10月の間長期にわたり発生・結実するので、発生が確認されたら年に複数回は防除する必要があります(図1)。
防除の仕方は、主に2つです。
1.刈取りによる防除
再生防止のために、地際から
刈取ることが必要です。(脇芽を残すと、生育が旺盛になるため)。種子が未熟な状態で刈り取った株を放置せず処分してください(後熟し、種子の供給源となります。)
2.茎葉処理除草剤による防除
茎葉処理除草剤は、ほぼすべての雑草を枯らす非選択性除草剤(グルホシネート液剤など)と、特定の雑草類を枯らす選択性除草剤があります。選択性除草剤は、3葉以上のアサガオには効果が劣ることがあります。侵入防止には、畦畔の帰化アサガオ類をグルホシネート液剤で枯殺する方が効果的です(たとえばバスタ液剤。水田畦畔で使用可、2回以内)。また、バスタ液剤は根元までしっかりかけないと葉先だけが枯れることになります。

図1 結実前に年複数回は必ず防除する
中央農業総合研究センター(2011)

防除方法3 ほ場での繁殖を防ぐ

すでにほ場に入っている場合は、土壌処理除草剤、茎葉処理除草剤、中耕培土、非選択性茎葉処理剤の畔間・株間処理を組み合わせて行うことになります。この時、4つのポイント((1)アサガオ本葉が2~3の時に大豆バサクラン・アタックショットなどの茎葉処理剤を前面処理する(2)アサガオが枯死したら、培土を行う。「土の量を多くし、土中からの出芽を抑制する。」(3)その後、大豆の生育を促す管理(排水の徹底等)を行い、アサガオが出芽しても生育を抑制する。(4)大豆の草高が条間の幅と同じになるまで管理を徹底する。)が大切です。

まとめ

帰化アサガオは、一旦ほ場に侵入すると防除が難しいため、被害を拡大させないように封じ込めることが最も大切です。そのためには、まず帰化アサガオに気づかなければいけません。そのため、作物の種類によらず地域の農業関係者(できれば河川敷や道路法面など非農耕地も含めた関係者)全体で意識をして、モニタリング体制を作っておくことも有効です。
また、大豆が小さい時に出芽した帰化アサガオは大きく生育します。基本的なことですが、初期生育の帰化アサガオに負けないため、大豆の出芽・苗立ちを良好にし、雑草が繁茂しない環境を作ることが大事です。初期生育の確保を心がけましょう。(安定した収量につながります。)

帰化ホウズキについて

最後に、現時点で大豆ほ場(転換畑)などで確認されている帰化ホウズキ類(写真6)を紹介します。
帰化ホウズキは、九州の他県ではほ場全体に広がっているところもあります。防除対策としては、大豆出芽前の土壌処理剤と畔間・株間の茎葉処理剤にリニュロン剤(非選択性除草剤)を使うことが効果的です。(草丈15cm以下の時に、吊り下げノズル等で大豆に飛散しないように。薬害あり。)
帰化雑草類を畑周辺で見かけたら、お近くの農業普及・振興課にご一報ください。

写真6 帰化ホウズキ類(ヒロハフウリンホウズキ)