すいか退緑えそ病対策

はじめに

すいか退緑えそ病は、ウリ類退緑黄化ウイルス(Cucurbit chlorotic yellows virus、以下CCYV)によって引き起こされるウイルス病で、タバココナジラミバイオタイプQ及びタバココナジラミバイオタイプBにより媒介されます。CCYVに感染すると、葉の黄化に加えて、黄化葉の周縁または葉脈間からえそ症状を生じ(写真1)、症状が激しい場合は葉が枯死し、さらに果実の肥大不足、糖度不足等の果実品質の低下を引き起こします。感染時期が早いと、被害が大きくなるため、生育初期からのタバココナジラミ(写真2、以下コナジラミ)の防除対策が重要となります
上益城地域におけるすいか栽培では、近年の地球温暖化の影響などから、定植から収穫にかけてタバココナジラミの発生が多く、すいか退緑えそ病の発生が問題となっています。当地域では、退緑えそ病の対策としてウイルス保毒虫を「入れない」、施設内で発病株と保毒虫を「増やさない」、ウイルス保毒虫を施設外へ「出さない」という3つの基本対策に取り組んできました。今回は、基本対策の方法について紹介します。

写真1 えそ症状
写真2 タバココナジラミ

基本対策

1「入れない」対策

ウイルス保毒虫を施設内に「入れない」対策のため、コナジラミの通り道となる出入口や換気口などを防虫ネットで塞ぎます。育苗時に加え、本ぽにおいても、コナジラミの発生が多く、施設内への飛び込みが多い時期(すいかの定植時期)に重点的に実施することで、生育初期の感染防止につながります。防虫ネットは0.4㎜目合い以下のネットを展張し、防虫ネットの破れや隙間が無いか確認しましょう。
令和7年度に上益城農業普及・振興課で実施した防虫ネット展張効果の調査では、防虫ネットの展張によりコナジラミの侵入を防止し(図1)、すいか退緑えそ病の発生が3%程度に抑えられることが分かりました。(図2)。また、防虫ネット有のハウスでは、退緑えそ病の発病程度が低くなりました(図2、写真3)。

図1 コナジラミ類の捕殺数(黄色粘着板1枚あたりの頭数)
図2 退緑えそ病の発生率と発病程度
写真3 退緑えそ病の発生状況

2「増やさない」対策

育苗期の粒剤処理や定植前・定植時の灌注処理を行うことで、生育初期の施設内の保毒虫の密度を抑制し、ウイルス感染を防止します。また、保毒虫の増殖を抑えるため、定植後も農薬散布による定期的な防除を行います。さらに、早い段階で感染が確認された株は抜き取ることで、被害を最小限に抑えることができます。
定植後の農薬散布時には以下の点に注意してください。

<注意点>
① ローテーション防除を行う
タバココナジラミバイオタイプQは効果の高い薬剤が少ないことに加えて、近年、一部の薬剤に対する感受性の低下が報告されています(熊本県病害虫防除所:令和7年11月6日技 術情報9号:「タバココナジラミのバイオタイプ及び成 虫に対する各種薬剤の殺虫効果について」参照)。薬剤抵抗性の発現を抑制するため、系統が異なる複数の薬剤をローテーションで使用してください。
② 葉裏にも農薬が届くように散布する
すいかの茎葉は地表に繁茂するため、散布ムラが生じやすくなります。コナジラミは葉の裏側にいるため、葉の裏側にも薬剤がかかるように丁寧に散布してください。

 

3「出さない」対策

栽培終了後に保毒虫が施設外に出ないよう、栽培終了時には施設密閉処理を必ず実施します。併せて、植物体を枯死させることでウイルスの伝染源を無くします。また、施設密閉処理は全く農薬に依存しない方法であるため、薬剤抵抗性の発達したコナジラミを確実に駆除することができ、薬剤抵抗性の発達抑制にもつながります。

図3 密閉処理を実施しなかった場合の保毒虫が増加するイメージ

最後に

地域でのウイルス病の感染拡大を防ぐために、ウイルスを保毒した微小害虫(保毒虫)を次作へ「つなげない」ための対策を産地一体となって取り組む必要があります。地域の保毒虫を減らすために、すいかほ場だけでなく、コナジラミが寄生する品目(トマトやピーマンなど)の栽培ほ場も栽培終了時にはハウスの密閉処理を推進することが必要です。

上益城地域振興局 農業普及・振興課

すいか退緑えそ病対策(PDFファイル)