サツマイモ栽培において病気の早期発見は非常に重要です。病原菌が増える前に対処することが大切なため、生育期は定期的にほ場をまわり生育不良株(株や葉のしおれ、萎凋(いちょう)、葉の黄赤変、株元の茎の変色など)の発生に注意しましょう(図2)。また、定植5週目以降は苗の消毒効果が切れることや、蔓(つる)が畝間を覆い始めて畝間の土に存在する病原菌に感染するリスクが高まるため、殺菌剤の散布による予防防除を心掛けましょう。
病気が疑われる株が見つかった場合は、すぐに抜き取りほ場から持ち出して適切に処理してください。具体的には、ほ場の一部で発生している場合は株(芋を含む)を持ち出し、ほ場外(サツマイモほ場や水路がない場所)で腐熟させてください。抜き取りの際は、ビニール袋などに入れて持ち運び、茎葉や土を落とさないように注意してください。株を除去した後は、対象の病害に適した殺菌剤を散布して病原菌が周りに広がらないようにしましょう。
その後、病害が発生したほ場ではなるべく早く収穫しましょう。特に台風が通過した後など、茎が傷ついて水がたまった状態が続く時は、病気が蔓延(まんえん)するリスクが高まるため早期収穫を実施してください。
また、病害が発生したほ場で使用した長靴や機械、器具、コンテナなどは土や残渣が残らないようにしっかり洗浄してください。
サツマイモの病害対策について
1.はじめに
熊本県は全国有数のサツマイモ産地であり、県内で602ha(令和3年産熊本県主要野菜生産状況調査より)の作付けが行われています。
主要な産地は菊池地域、阿蘇地域、上益城地域で、特に菊池地域は全体の4割以上のシェアを持つ県内最大の産地です。
平成30年11月に国内で初確認された「サツマイモ基腐病」は、九州を中心に甚大な被害をもたらしています(令和5年10月現在全国33都道府県において確認)。本県においても発生が確認され、令和2年10月30日に特殊報が発表されています(図1、病害虫発生予察特殊報(発生予察特殊報第4号) https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/215130.pdf)。
また、基腐病以外にもサツマイモの立枯れ・塊茎腐敗を引き起こす病原菌は複数あり、一度まん延してしまうと甚大な被害に繋がります。しかし、病原菌を「持ち込まない、増やさない、残さない」といった基本的な病害対策を実行することで病害の拡大を防ぐことができます。
農業普及・振興課では、生産者やJA、市町と協力して「サツマイモ基腐病」をはじめとした土壌病害への対策について取り組みを進めてきました。今回はサツマイモの土壌病害への対策(収穫期の異常株チェック、収穫後の残渣(ざんさ)処理)について紹介します。

2.生育期、収穫期の確認(増やさない対策)

3.収穫後の残渣処理(残さない対策)
収穫が終わったらほ場に残っている茎葉などの残渣は速やかに細断してすき込み、分解を促進してください。この工程は、できるだけ早く気温の高い時期に実施することが有効です。11月下旬から~2月の低温期にすき込んでもほ場内での分解が進まないため、11月中旬頃までに実施するように心がけましょう。
なお、病害が発生したほ場についてはすき込む前に発生株および発生が疑われる株を先述のようにほ場外へ持ち出して適切に処理してください。
4.最後に
増やさない対策・残さない対策について説明しましたが、これらの対策は「持ち込まない対策」を実施することが前提です。ウイルスフリー種芋を使った種苗更新や苗床の土壌消毒、種芋や苗の消毒は必ず実施してください。
サツマイモ栽培における病害対策では、事前の予防、早期発見、早期対応がとても重要です。
今後もサツマイモの安定した生産ができるように正しい知識を持ち、正しい対策を継続していきましょう。
県北広域本部 農林水産部 農業普及・振興課
サツマイモの病害対策について(PDFファイル)
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