ショウガの根茎腐敗病対策について

はじめに

熊本県は生産量全国第2位と有数のショウガ産地で、172ha(令和3年産熊本県主要野菜生産状況調査より)の作付けが行われており、宇城地域・八代地域で県全体の9割以上の生産量を占めています。

1983年に確認された「ショウガ根茎腐敗病」は、その名の通り根茎を腐敗させ経済的に大きな被害を及ぼすことから、ショウガ栽培において最も防除を必要とする土壌病害となっています。

今回はショウガの根茎腐敗病の防除に有効な対策を紹介します。

 

県は生産量全国第2位と有数のショウガ産地で、172ha(令和3年産熊本県主要野菜生産状況調査より)の作付けが行われており、宇城地域・八代地域で県全体の9割以上の生産量を占めています。

1983年に確認された「ショウガ根茎腐敗病」は、その名の通り根茎を腐敗させ経済的に大きな被害を及ぼすことから、ショウガ栽培において最も防除を必要とする土壌病害となっています。

今回はショウガの根茎腐敗病の防除に有効な対策を紹介します。

 

根茎腐敗病とは

ショウガ根茎腐敗病とは、糸状菌のピシウム属菌によって引き起こされる土壌病害です。本病に感染すると、茎葉では地際部が暗緑色の水浸状の変色を生じるとともに、下位葉から上位葉へ葉の黄化が進み、やがて立枯症状となり、倒伏します。根茎では、表面または内部でアメ色に変色して軟化・腐敗してしまいます(写真1)。

 

本病は感染した種ショウガの利用や、ほ場外からの病原菌の持ち込み等によって発生します。また、本病の原因となるピシウム属菌は水によって運ばれ、土壌水の移動でも急速に拡大するため、一度ほ場に病原菌が侵入すると防除は非常に困難となります。そのため、本病を防ぐためには「持ち込まない対策」と「ほ場の管理」が重要です。

写真1 ショウガ根茎腐敗病の病徴(左:株の立枯症状、右:根茎の褐変)
(「熊本県病害虫・雑草防除指針<令和5年度(2023年度)版>より引用」)

根茎腐敗病の対策

①持ち込まない対策

根茎腐敗病を発生させないために、ほ場内に病原菌を「持ち込まない対策」が最も重要です。

種ショウガを選ぶ際は罹病(りびょう)疑いのあるものは使用せず、健全な種ショウガを使用するよう心がけましょう。

また、種ショウガを50℃の湯に10分浸漬し、表面に付着した病原菌を殺菌する「温湯消毒」の実施も発病防止に効果的です(写真2)。

土に付着したほ場外からの病原菌の持ち込みを防ぐには、ほ場に入る際に靴を履き替える、靴底を洗浄・消毒する等の対策を行い、靴底に付着した土をほ場に持ち込まないようにしましょう。

写真2 種ショウガの温湯消毒
写真3 ショウガのドローンでの農薬散布

②ほ場の管理

根茎腐敗病の発生を抑えるためには、作付前に土壌消毒を行い、ほ場内の病原菌の密度を下げることが重要です。生育期には定期的に殺菌剤を散布し、予防的な防除を心がけてください。
また、土壌内の養分や微生物に偏りが生じないよう連作を避け、特に発病の程度が大きい場合は2~3年は休耕するようにしましょう。
さらに、土壌水の移動に伴う病原菌の拡大を防ぐため、ほ場外からの水の流入を防ぎ、畝を高くする等の排水対策を行います。ほ場が多湿条件にならないようにすることで発病を抑制することができます。
ほ場周辺の雑草の除去やほ場周辺に柵を設置するなど、鳥獣害対策も併せて行いましょう。

 

さいごに

今回、ご紹介したショウガ根茎腐敗病の対策技術は、立枯病やいもち病など、他の病害でも同様に言えることです。適切な栽培管理を行い病害の発生を防ぎ、ショウガの生産安定を目指しましょう。

県央広域本部 宇城地域振興局 農業普及・振興課

ショウガの根茎腐敗病対策について(PDFファイル)