ホオズキ栽培における主な病害虫と対策について

はじめに

ホオズキはお盆用の飾り物として需要があります。そのため、安定的な収入を確保するためには、7月盆、8月盆などの物日に合わせ栽培するとともに、出荷率を高める必要があります。しかし、高温多湿時期を経るホオズキの栽培では、病害虫による商品性の低下が問題となりやすいため、対策がとても重要になります。そこで、今回は、ホオズキ栽培における主な病害虫対策のポイントについて紹介します。

主な病害虫について

(1)白絹病(糸状菌)

多くの作物で問題となる土壌伝染性病害です。
発病した株は、はじめ地際部がややくぼみ、くびれを生じます。その後、萎ちょう枯死し欠株になります。また、地際部を確認すると白色の菌糸で覆われ、のちに茶褐色の菌核を生じます(写真1)。
白絹病菌の生育適温は30℃前後であり、初夏~初秋の高温多湿時期に発生しやすく、ほ場内の排水が悪い場所など土壌水分の多い場所では特に注意が必要です。

 

〈対策〉
①土壌や残渣に菌が残るため、栽培終了後は抜根し土壌消毒を行います。
②苗(地下茎)からの病原菌の持ち込みを防ぐため、健全な苗を選抜します。
③栽培時に発病株がみられたら直ちに発病株や周辺土壌の除去を行い、マルチをはぐなどして土壌を乾燥させ、殺菌剤を株元に散布します(写真2)。

写真1 白絹病の被害株
写真2 被害株除去後の様子

(2)オオタバコガ

オオタバコガは、外部からの成虫の飛び込みにより侵入します。ホオズキ栽培では5月頃から注意が必要です。
オオタバコガの幼虫は、葉だけでなく花や宿存がく、果実まで食害するため、秀品率の低下につながります(写真3)。
また、同じ部分を連続して食害せず、渡り歩いて食害するため、幼虫の密度が低くても被害は大きくなる傾向にあります。加えて、幼虫が大きくなる(老齢幼虫)と、薬剤感受性が低くなるため、発見が遅れると防除も困難となります。

 

〈対策〉
施設栽培では、ほ場及び周辺地の除草を行います。また、外からの飛来を防ぐため、防虫ネットやビニルに穴が開いていないか点検を行いましょう。
②大きくなった幼虫(老齢幼虫)は、薬剤による防除効果が低いため、薬剤散布後7~10日間隔で防除を行います。老齢幼虫を見つけた場合は、捕殺しましょう。
※薬剤抵抗性が発生しやすいので、同一系統薬剤は連用せず、ローテーション散布を行います。
③オオタバコガの成虫は夜行性のため、夜間に防蛾灯を使用することでオオタバコガの行動(ほ場への侵入、交尾や産卵行動)を抑えられ、被害軽減につながります。防蛾灯の設置は、ハウス全体が1ルクス以上の明るさを確保できるように設置位置と本数を調整します。

写真3 オオタバコガによる宿存がくの被害

(3)ハダニ類

ハダニ類は、2530℃程度の温度で乾燥した状態で多発します。ホオズキでは、5月頃から注意が必要です。
被害を受けた葉は、部分的に退色が生じます(写真4)。多発すると、葉はハダニの吐く糸で覆われ、症状がひどい場合は、落葉してしまいます。

 

〈対策〉
①周辺の雑草はハダニ類の発生源となるため、除草を徹底します。
②系統の異なった薬剤を組み合わせて、ローテーション散布を実施します。また、農薬散布後も害虫の確認を行い、生きている害虫がいる場合は、再度農薬を散布しましょう。

※マルハナバチを入れている間に農薬を散布する場合は、農薬の種類、ハチへの影響日数の確認を行うなどの注意が必要です。
③ハダニ類は、作業者の衣服に付着して広げてしまうことがあるため、多発している箇所の作業は最後に行うなどの工夫が必要です。

写真4 ハダニの被害葉

最後に

病害虫防除の遅れは、出荷時期・収量に大きく影響します。
そのため、まずは、栽培前までにほ場内外で病害虫を発生させない環境を整えるとともに、日々確認・観察を行い、早期発見・早期防除に努めましょう。

県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課

ホオズキ栽培における主な病害虫と対策について (PDFファイル)