近年の急速な温暖化の進展は、施設野菜において大きな影響を及ぼしています。特に夏から秋に定植し翌春まで収穫を行う冬春作の品目では、定植期の生育不良や暖候期の果実品質、収量に大きな影響を及ぼしています。その中でも、ナスは、トマトやイチゴと比べて生育適温が高めで、25~30℃とされていますが、施設内が35℃を超えると、同化産物の減少による花芽の着生不良や地下部の発育不良が生じ、障害果の発生や樹勢低下が顕在化してきています(図1)。
冬春ナスの高温対策について
高温による冬春ナスへの影響

[玉名地方普及指導協議会野菜部会, 2026]
高温対策技術
1.施設の換気
換気の効率は、「開口部の広さ(面積)」と「外気の風速」により、決定されます。
開口部を可能な限り広く確保することで換気の効率が向上し、最大で外気温並みに施設内温度を下げることが期待できます。天窓のない施設では、妻面やサイド部に開口部を確保します。高温の空気はハウスの天井付近に滞留するため、開口部の位置が高い場合は、より排熱効率が高まります(図2)。
なお、開口部には防虫ネットを展張し、害虫侵入防止に努めます。また、当地域では、谷部の防虫ネットを緩やかに展張して換気面積の拡大を図ることで、換気効率の改善を試みる事例があります(現在調査中)。

2.遮光資材の活用(※定植後の現場での利用事例を記載)
高すぎる地温は、発根の抑制(35℃以上)等、根の生育に悪影響を及ぼします(図1)。畝内の温度の過剰な上昇を避けるため、定植の数日前から株の活着まで、遮光資材(遮光率50%)を展張します。充分な活着の目安としては、葉水の発生を確認するとよいでしょう。
また、遮光資材を内張り被覆で使用する場合、曇雨天時は、株がしおれない程度に遮光資材を開放します。
3.株の状態に合わせたかん水【定植後~活着後のかん水】
定植後の高温時期には、葉からの蒸散を維持し、健全な地下部の発達を促すため、十分なかん水量を確保します。定植後から活着までの5日間程度は、鉢土部分が乾燥して白くならない程度に、1株ずつ株元に手かん水します。活着後はチューブによるかん水に切り替え、根張りの促進のために、チューブの位置を徐々に株元から畝の肩側へずらします。根が畝全体に張った後は、ハウスに入ったときにメガネが軽く曇る程度の湿度の確保を目安に、かん水量を調節します。
4.活着後の草勢管理
高温により草勢が低下しやすいため、初期の草勢は強めに維持するよう管理します。草勢が弱い場合は早めに第1果の摘果を行い、場合によっては第2果まで摘果をして株づくりを重視します。
おわりに
定植時の高温は、同化産物の低下を通じた、着花や地下部の生育不良に影響するだけでなく、青枯病等の土壌病害の発生も助長します。前作の病害の発生状況によっては、高温時期を回避し、定植時期を調整する経営判断も求められます。
なお、玉名地域では、管内JAと生産者、農業普及・振興課で温暖化対応プロジェクトチームを設置し、高温対策資料の作成及び技術支援を行っています。今後は、高温対策として遮光資材の種類や展張時期による効果検証を行い、更なる技術支援に取り組んで参ります(図3)。

文献目録
玉名地方普及指導協議会野菜部会. (2026). ナス(夏秋作、冬春作)における温暖化対策.
県北広域本部 玉名地域振興局 農業普及・振興課
冬春ナスの高温対策について (PDFファイル)