茶園における病害虫対策について

はじめに

近年、茶の栽培において、カンザワハダニやチャノミドリヒメヨコバイなど、基幹防除の対象病害虫となっていない害虫が発生し、被害が見られています。そこで、近年茶園で発生が見られている病害虫の被害の様子とその対策について、いくつかご紹介します。

マダラカサハラハムシ

(1)被害の様子
葉の中央の葉脈付近や葉に1~2ミリの小さな穴や、葉柄および茎に食害跡が局所的に見られます(図1)。特に、成虫の活動が活発な8月以降の秋芽に被害が多く見られ、虫の発生が多い場合は面的に秋芽がなくなる等の被害が生じます。

 

(2)対策
秋芽の萌芽から1葉期(8月中~下旬頃)に薬剤防除を行います。

 

図1 マダラカサハラハムシの食害

ミノガ(チャミノガ、ニトベミノガ)

(1)被害の様子
夏から晩秋に坪状に葉が食害される症状が見られます(図2)。慣行防除園で多発することは少ないですが、無農薬茶園でよく発生が見られています。

 

(2)対策
食害部位との境界に生息しているため、ミノを見つけ次第捕殺するか、発生初期に薬剤防除を実施します。薬剤防除の際は、食害部分より広い範囲に薬剤を散布します。ミノが濡れた状態だとより防除効果が高くなります。

図2 ミノガ
(左:坪状の食害、右:ニトベミノガ)

ナガチャコガネ

(1)被害の様子
幼虫による根の食害により、坪状に一番茶芽の著しい生育阻害が生じます(図3)。被害が激しい場合は新芽が全く伸びず、収量が大きく低下し、収穫が皆無となる場合もあります。

 

(2)対策
6月上旬(成虫の発生初期)に、被害が発生した株周辺の畦間に薬剤を土壌混和します。

図3 ナガチャコガネ
(左:被害(右側)、右:幼虫)

ゴマフボクトウ

(1)被害の様子
成木園では、加害された枝幹の上部のみ枯死します(図5)。幼木園では株全体が枯死する被害も生じます。
また、幼虫が食入した株の根元には幼虫の粒状の虫ふんが見つかります(図4)。

 

(2)対策
産卵場所となる茶園周辺の樹木の枯れ枝を除去したり、穿孔部へ針金等を挿入し幼虫を駆除するなどして防除を行います。また、秋整枝や中切りにより、ある程度駆除することができます。

 

図4 ゴマフボクトウ幼虫の虫ふん
図5 ゴマフボクトウ食入による株の枯死

赤焼病

(1)被害の様子
他県では10月頃から被害の発生が見られますが、県内では2月頃からの発生が多く確認されています。り病した葉には、葉の中央の葉脈部分から褐変する病斑が現れはじめ、被害は坪状に広がります(図6)。多発した場合は成葉の落葉や茶芽の枯死が見られます。赤焼病に罹病した葉には、褐変部位の周囲に水浸状の部位があることが特徴です。

 

(2)対策
発生が見られた場合は直ちに薬剤による防除を行います。
また、被害が発生した茶園で管理作業を行った場合、作業靴や機械の洗浄を十分に実施し、他の茶園に被害が拡大しないように努めてください。また、冬期のマシン油散布は赤焼病を助長する場合があるので、散布を控えるか、マシン油散布の数日前に銅剤を散布してください。

 

図6 赤焼病の被害葉

おわりに

適切な防除を行うには、早期に被害を発見し、原因となる病害虫を特定することが大切です。定期的に茶園を観察して、良好な茶園管理に努めましょう。

県南広域本部 球磨城地域振興局 農業普及・振興課

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