水田暗渠(きょ)の排水不良を改善するための原因診断に基づく対策技術フロー
生産環境研究所土壌環境研究室
1 研究のねらい
水田汎用化を進めるには排水性の向上が欠かせないことから、暗渠排水の敷設とその後の管理が重要となっています。暗渠排水管の目詰まり対策として「洗管ノズルを装備した防除用動噴を用いて満水状態で行う暗渠洗浄技術」を開発していましたが、本研究では、この洗浄効果をさらに向上させました。また、暗渠施設の排水不良に対し、原因の確認及び対策を確認できるよう、暗渠管の管理や洗浄等のこれまでの成果を含めて暗渠排水不良対策の総合的な技術体系としてまとめましたのでご紹介します。
2 成果
(1)暗渠吐出口を閉栓して管内を満水にし、暗渠立ち上がり管から洗管ノズルを装着したホースを挿入・往復させて行う暗渠洗浄において、往路は満水とし、排水口側に達したら開栓して排水しながら復路洗浄を行うことで、洗浄・排出される土砂量を多くすることができました(図1)。


(2)暗渠からの排水不良の原因は、排水路水位、立ち上がり管、耕盤層、吐出口の付着物、疎水材などのポイントが多くありますが、作成したフロー図を用い確認することで、日頃の維持管理で対応する改善策をとることができます。
暗渠の排水不良原因の確認及び対策フロー (PDFファイル)
3 留意点
(1)往路を満水とするのは、洗管ノズルならびにホースにかかる浮力によって管底との摩擦を軽減し、噴射圧でノズルを推進させるのに有利なためです。
(2)復路で排水するのは、噴射水を暗渠管の内壁にできるだけ直接当てることで洗圧を高めつつ、土砂の剥離と排出を同時に行うことで、洗浄効果を高める効果があると推測されるためです。
No.1016(令和5年(2023 年)6月)分類コード 03-01
水田暗渠の排水不良を改善するための原因診断に基づく対策技術フロー (PDFファイル)
土壌環境
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