温州ミカン「熊本EC11」はシートマルチ栽培により高品質な果実が生産できる

研究のねらい

本県で育成した温州ミカン「熊本EC11」は、12月上旬に成熟し、高品質で食味が良く、浮き皮の少ない中生温州です。12月は温州ミカンの最需要期で、特選率(高糖度果実の割合)を高めるために高品質果実生産が求められていますが、近年、秋季の長雨によって糖度低下を招く傾向にあります。
そこで、12月に高品質果実を安定して生産するため、透湿性防水シートによるマルチ栽培(以下、シートマルチ)技術を確立しました。

写真 「熊本EC11」のシートマルチ栽培の様子

研究の成果

1.8月上旬からシートマルチを開始し、9月上旬で糖度9.5程度になるよう水分ストレス(葉の水ポテンシャル-0.8Mpa程度)を付与することで収穫時(11月下旬)に12.5以上になります(図1、2)。

図1 「熊本EC11」のシートマルチ栽培による果実品質の推移(平成28年、30年の2カ年平均)
図2 「熊本EC11」のシートマルチ栽培による糖度と葉の水ポテンシャルの関係(平成30年)

2.収穫時の果実品質はシートマルチをすることで、無マルチに比べ、糖度が高く、果皮の赤み(a値)が強くなります(表1)。

注)平成28年 収穫:平成28年11月16日、調査:平成28年11月21日、
平成30年 収穫:平成30年11月21日、調査:平成30年11月26日
Z )t検定により*:5%水準、**:1%水準で有意差あり、ns:有意差なし

3.シートマルチをすることで果実肥大は緩やかとなり、収穫時の果実階級は2Lサイズ以上の大玉の割合が少なく、商品価値の高いMサイズ中心の果実階級となります(図3、4)。

図3 「熊本EC11」のシートマルチ栽培による果実肥大率(8月上旬~)の推移(平成28年、30年の2カ年平均
図4 「熊本EC11」のシートマルチ栽培による収穫時の果実階級(平成28年、30年の2カ年平均)

4.以上のことから、温州ミカン「熊本EC11」は、8月上旬からシートマルチを開始し、9月上旬に糖度9.5程度、葉の水ポテンシャル-0.8Mpa程度の水分ストレスを付与することで、11月下旬には糖度12.5以上となります。また、果皮の赤みも強くなります。

普及上の留意点等

1.   樹体への水分ストレスが強くなるほど糖度とともにクエン酸濃度も高くなるため、定期的に果実品質を確認し、酸高にならないよう注意してください。
2.  エチクロゼート(フィガロン乳剤)は、満開後80~90日頃に1回目を散布し、天候や果実品質を考慮し2回目を散布します。また、夏秋期に降雨が続き果実品質の低下が懸念される場合は、夏秋梢伸長抑制を目的に散布します。
3.  着果が少ない樹ではシートマルチの効果が出にくいため、着花が少ない樹は芽かきやジベレリン処理により着果量を確保します。

お問い合わせ先
農業研究センター 果樹研究所 常緑果樹研究室
【TEL】0964(32)1723

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