除菌剤の拭取りは、畳表の色の変化や摩耗強度に影響を及ぼさない

農業研究センターアグリシステム総合研究所 いぐさ研究室

研究のねらい

2019年頃から国内で流行している新型コロナウイルスの感染防止策として、エタノール等の除菌剤による手指及び物品等の消毒が広く行われていますが、このような状況下で畳表への除菌剤による継続的な拭取りが、色の変化や摩耗強度に及ぼす影響についても知見を蓄積する必要があります。そこで、いぐさ畳表について、新型コロナウイルス除菌剤として厚生労働省が推奨している70%エタノール溶液及び0.05%次亜塩素酸ナトリウム溶液による拭取りが、畳表の色の変化や摩耗強度への影響を明らかにしました。

研究の成果

表1のとおり比較したところ、色の違い(色差⊿Eab値)①、②それぞれは、色の違い③との間に有意な差はなく、除菌剤の拭取りは畳表の色調に影響を及ぼしません(図1)。

図1 各溶液による拭取りが、畳表の色調に及ぼす影響
畳A,B:令和3年6月21日収穫「涼風」(アグリシステム総合研究所圃場栽培)を製織。 
NS:“水拭き“を対照群としたDunnettの多重比較で、5%水準で有意差がないことを示す。

240回拭取り後の畳表を温室内で4週間、自然光にさらし退色させたところ(表2のとおり比較)、色の違い(色差⊿Eab値)①、②それぞれは、色の違い③との間に有意な差はなく、除菌剤の拭取りは畳表の退色に影響を及ぼしません(図2)。

図2 各溶液による拭き取りが、畳表退色の色調に及ぼす影響
供試畳表:令和3年6月21日収穫「涼風」(アグリシステム総合研究所圃場栽培)を製織。
NS:“水拭き“を対照群としたDunnettの多重比較で、5%水準で有意差がないことを示す。

各除菌剤40回拭取り後に布ヤスリでこすった時の摩耗強度は、水拭きとの間に有意な差はなく、除菌剤の拭取りは、摩耗強度に影響を及ぼしません(図3)。

図3 各溶液による拭取り及び乾拭きが、畳表の磨耗強度(磨耗量)に及ぼす影響
供試畳表:令和3年6月21日収穫「涼風」(アグリシステム総合研究所圃場栽培)を製織。
(麻本間、1枚当たりの重量2.2㎏、100本当たりの製織長4.0cm)。
摩耗試験条件:カムスト式織物摩耗試験機、荷重錘453.6g、布ヤスリ♯60。
摩耗試験箇所は、端から24配目、25配目及びその左右0.5配(合計約3配)。
NS:“水拭き“を対照群としたDunnettの多重比較で、5%水準で有意差がないことを示す。

成果活用面・留意点

本試験はアグリシステム総合研究所内で栽培した令和2年及び3年産「涼風」の畳表を4試験区(ラテン方格法)に割付けました。

成果2の自然光にさらす処理以外は、温度20℃、湿度65%の直射日光が入らない閉鎖空間で実施したものです。

拭取り方法は、市販のキッチンペーパー(43cm×27cm)を3回折り曲げ、除菌剤及び上水道水を各8.0ml吸収させ、111g/cm2の加重条件下で行いました。ただし、除菌剤拭取り後に水拭きを行い、最終的には、各試験区の拭取り回数を同じにしました。

乾拭きについては、前述各種溶液による拭取りと同回数行いました。

拭取り回数について、「40回拭取り」とあるものは約30日間かけて合計40回拭取りました。「20回拭取り」とあるものは約15日間かけて合計20回拭取りました。

70%エタノール溶液は、特級エタノール(99.5%)を、0.05%次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用漂白剤(有効塩素濃度5%)を適宜希釈して試験を行いました。

 

No.993(令和4年(2022 年)6月)分類コード 05-07
993_成果情報_アグリ_除菌剤拭取り試験 (PDFファイル)

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